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幻石〜5つの石を探す旅〜

素人の一次創作、幻石のサイトです。

12話 あとがき

お久しぶりですラリンです。

新キャラ登場!ですが彼女は本編にはもう出てきません。

さようならオラシオン、2の島のストーリーを増やしてくれてありがとう。

 

 

前回繋ぎの話しと書きましたが、私にとっては2の島編全部繋ぎの話しみたいなもんです。すみません!!

今回の話しは余りにも少ない2の島編を増やす為に入れたものなので、後に続くものよりも考えた日付が新しい話しとなっております。

 

 

 以前何処かで言ったように、レイバーとオルコの過去は番外編で書いている途中なので、次か次の次くらいに来ると思われ。

軽く半年放置してます。早く書いて私。

ではではまた次回!ラリンでした〜!

 

幻石〜5つの石を探す旅〜 第12話

王女であるシャンから、伝説の石、幻石を守る5人の人を探すという勅命を受け旅をしている白姫、ベネジクト、真騎、レストの4人。
しかし幻石の守り人とは幻石そのものであったことが判明する。
最初の守り人、時を司る幻石である時節 詩貴(じせつ しき)を仲間に迎え入れ、駄々をこねる白道をなんとか引っぺがし、歩みを進めていた。



第12話「いざ!2の島へ!」



「船が出港したばかりだったとは……完全に頭にありませんでした……」
「うちの魔法があってよかったねー」
港についた時には丁度船が出港した頃。
歩いて6の島まで引き返す訳にもいかず、ベネジクトの草魔法を使って帰ってきたのだ。
「城に顔でも出したいところですが、急がなければなりませんのでもう2の島へ行きますよ」
「えぇー!?ちょっとでいいからさー買い物しーたーいー!!」
「駄目です。旅が終わってからにしてください」
ちなみに詩貴は石の姿になり、レストのポシェットの中に入っている。
レストは常に真騎の背中で寝ているため、実質真騎が持っていることになるが。
「真騎のケチー!!いいよ行こう!2の島でしょ!!」
頬を膨らませながら、またもや先陣を切ったベネジクト。
残りの3人はそれを追いかけ、無事に2の島門《ツーゲート》を通過した。



6の島と2の島都心部《ツーエリア》を繋ぐ道の途中。
大きな魔物が道を塞いでいた。
さらにそれは今にもこちらに襲いかかろうとしている。
「何よやろうっての?雑魚に用はないんだよねー」
杖を構え、魔法を発動させようとした瞬間。
「……だめ!!」
「えっ!?あっ!」
突然レストが起床し、攻撃を止めさせた。
しかし止めきれず、放たれてしまった小さな火魔法が魔物の方へ飛んでいった。
腕の立つ魔法使いだからか運が悪いからか、真っ赤な火の玉は魔物へ直撃した。
「あ、やば……」
魔物の毛皮を瞬時に焦がし、その部分だけ皮膚が露出している。
それに気づいた魔物は、さらに怒りを増幅させた。
そして襲ってこようとしたその瞬間。
何故かピタリと動きが止まった。
「え?止まった……?」
「お主が何かしたのではないのか?」
「うちは何も……」
真騎がやったのかと、2人は少し後ろにいた真騎を見る。
と、そこには普段寝ているだけのレストが立っていた。
「その子は僕のお友達……わざとじゃないって言ったら許してくれた」
「え?あんた何も喋ってないじゃん?なんで?は?」
「……お話しできるの。頭の中でお話しするの」
頭の中で、とは所謂テレパシーのようなもの。
レストは魔物の思考を読み取ることができる生まれながらの才能を持っているのだ。
その上空間能力にも長けており、首からぶら下げている笛で、契約を交わした魔物を召喚することができる。
シャンがレストを選んだのもこの為だろう。
しかし純血のシルフでありながら魔力が少なく、草魔法の威力はとても弱い。
「じゃあその魔物は今何て思ってんの?」
「……驚かせてごめんね。僕が捕まってると思ったって……」
「勘違いにも程があるのぉ。人さらいだと思われておったとは」
申し訳なさそうにする魔物。
その仕草はまさに愛くるしいペットそのものだ。
「魔物騒動も収まったことですし、先に進みましょうか」
「……ばいばい、またね」
「もっと笑顔で言えばいいのに。子供らしくさー」
レストは、思い出したように真騎の後ろに隠れる。
彼は女が苦手、故に真騎にくっついているのだ。
ベネジクトの家に言った時も、彼女の母親から泣きながら逃げていた程に。
「警戒心薄れるのいつかなあー」
「しばらくそばに居ったところで変わらんだろうな。根本的な問題を解決せねば」
未だに会話もままならない2人。
レストはほとんど寝ているため、そもそも話す機会があまりないが。
4人は魔物と別れ、2の島都心部《ツーエリア》へと歩みを進めた。


「ちょっと待って長くない?遠くない?」
「もうすぐ日が暮れそうだのぉ」
「また野宿コース!?やだー!!」
あれからだいぶ歩いたが、なかなか目的地へと到着しないまま日が暮れようとしていた。
そして例外なく駄々をこねるベネジクト。
「仕方なかろう。着かんのだからな」
「ベッドで寝たいなんて言わないからー!建物の中で寝たいー!!」
「なんだか申し訳ないです……」
「えっ、謝られたらうちが何かしたみたいじゃん!?」
きっときちんと計画を立てられなかったことを申し訳なく思っているのだろう。
真面目で優しい真騎だからこそ零れた一言だ。
「僕のお友達呼ぶ?」
「え?友達?」
珍しく起きていたレストから、これまた珍しく提案が出された。
当の本人はとても眠たそうにしている。
「テントムシ……お腹の中で寝れるの」
「気持ちだけいただいとくわ……」
ベネジクトのわがままも収まり、その日は何事もなく眠りについた。



「あれではないかの?2の島都会《ツーエリア》は」
1の島都会《ワンエリア》よりも発展していない、自然に近い地区。
その理由は生態系にある。
魔物や妖精が多く住み、進んだ文化を持った人間が極端に少ないのだ。
それ故に人間の方が立場が弱く、魔物や妖精に適した環境、自然が多い作りになっている。
異世界からやって来た人間が一番に来る2の島に、何故人間が一番生息していないのかはいろいろな説がある。
ちなみに2の島の長は妖精シルフである。
「ここは別れて情報収集をしましょうか。お昼頃に、そうですね……あの木の前に集合でいかがでしょう?」
真騎が指さしたのは、一際目立つ大きな木。
大昔からある2の島のシンボルだ。
木の葉は緑ではなく、綺麗な赤色をしている。
「おっけー。うちは向こう行くから」
「ならば我は此方を探そう」
「僕はそっち」
「決まりですね。ではまた後程」
数日間離れることのなかった4人が、初めてバラバラになった。
果たして情報を得られるのは誰なのか……。



真騎が来たのは人気の少ない森の近く。
唯一あった民家の前に、1人の女性が居たからだ。
薄い黄色の短い髪に、紫に輝く目。
何かに一生懸命に祈っているらしい。
その佇まいは儚げで、今にも壊れてしまいそうだ。
「あの……少しだけお伺いしても宜しいでしょうか?」
「私……ですか?」
「はい。幻石を探して旅をしているのですが、ご存知ないかと思いまして」
普通なら笑われるところだが、女性は当然のようにそれに答えた。
「すみません……私にはわかりかねます。そうだ!うちの書庫に古い書物がありますので、その中にあるかもしれません」
「見せていただけたりしますか……?」
「はい。もちろん」
二つ返事で了承した女性は、真騎を書庫の方へと案内する。
決して綺麗とは言えない家の外観とは裏腹に、中の造りは美しく整えられていた。
「申し遅れました。私は光闇 真騎という者です。先程申し上げた通り、現在は旅をしております」
「私はオラシオンと言います」
互いに会釈し合う。
まるで他社の人に会う会社員のようだ。
「……あの、この写真は……」
「ああ、それは私が産まれた時に撮った、家族全員の最後の写真です。姉と兄は、小さい頃に人攫いにあったらしくて……今も行方不明なんです」
「もしかして、オルコとレイバーってお方ですか?」
「な、なんで知って……!?」
オラシオンは目を見開いた。
赤の他人、それもついさっき知り合った人に、教えてもいない身内の名前を当てられたのだ。
「合って居ましたか!先程あなたを見つけた時から、2人と似ているなあと思っていたんですよ。それにこの写真、お2人ともほとんど変わっていませんよ」
「今どこに!?生きているんですか!?」
真騎にグイッと近づく。
とても真剣で、ほっとしているような悲しげなような表情をしている。
「今はアレス城で働いていらっしゃいますよ。オルコさんは攻撃部隊育成長、鬼教官として有名です。レイバーさんは攻撃部隊隊長、とてもお強いんです。逆に言うと、取得はそれだけですが……」
「良かった……良かったです……」
「え!?あの、えっと!と、とりあえずこれどうぞ!!」
泣き出したオラシオンにハンカチを渡す。
誰もいない家の中なのに、キョロキョロとあたりを確認する真騎。
それは果たして視線を気にしているのか、助けを求めているのか……。
「すみません、泣いちゃって……」
「い、いえ!それだけずっと想っていらしたんですよね。2人に話したらきっと喜びますよ」
「……城に行けば会えるんですよね?」
「はい。ですが入城許可証がないと……そうですね、紙とペンはありますか?」
少し待っていてくださいと言いながら、オラシオンは奥に消えていった。
慌てて探しているのかドタバタと音が聞こえてくる。
バンダナを少し乱して戻ってくると、机の上にそれを置き、真騎を椅子へ誘導した。
「入城許可証……これを所持している者は特別に入城出来るものとする……発行者、光闇真騎……と」
「あの……もしかしてこれって」
「もちろん、あなたが城へ入れるようにするための物ですよ。最後に印を押せば完成です」
城であれば許可証専用の印鑑を押すが、出先で発行する時は代わりに魔法を押すのだ。
指先に力を込めて紙に押し付ける。
許可証を発行出来る者にしか使えない魔法だ。
真騎の場合は黄色に輝く印ができる。
「どうぞ。どうかお2人にあってあげてくれませんか?」
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます……!!」
「いいえ、貴方の喜ぶ姿を見る事ができて私も嬉しいです。それに書庫を見せていただくわけですからね。ほんのお礼ですよ」
城の警備が心配になるほどあっさりと許可証を発行した真騎は、その後整理整頓されていない書庫を見てまた仕事をしたそうな……。

11話 あとがき

投稿ペースがだいぶ落ちましたがはたして私が生きている間に完結するのでしょうか。
そんなこんなでもう11話です。
実はここで幻石を連載し始めて、去年の11月ですでに1年が経過しております。
時の流れとは早いものです。
そして1年ちょっとでようやく1の島を脱出します。
作中ではまだ3〜4日しか経っていません。
ゆっくりですが、よろしければこれからもお付き合いくださいませ。



今回の補足ですが、タイトルの通り繋ぎのお話しのためいつもよりグダグダなことをお詫び申し上げます。
守り人を探す理由に少しだけ触れましたね。
詳しい事はその時になるまで、ですよ。
誕生日があと半月程度なのはいつもの如く適当です許して。
この世界の時間や日付は日本と同じです。
どちらも日本から来た人間が伝えたものなので。

それでは次回の更新までしばしお待ちください。

幻石〜5つの石を探す旅〜 第11話

異世界に迷い込んだ少女は、そこで知り合った新しい母親を亡くし、義兄も亡くした。
残ったものは絶望と悲しみだけ。
それが力となって創り出された5つの石を、人々は幻石と呼んでいる。



第11話「繋ぎのお話し」



「あんな小さな子にそんな出来事があったなんて……」
黄色い男性――真騎からこぼれた一言。
幻石が生まれた理由を詩貴から聞いて、皆衝撃を受けていた。
伝説で語られているのは、あくまでも少女が5つの石を生み出したということだけ。
「もしかしてその石像って、アレス城の前にあるあれ?」
「そうさ」
あるのが当たり前になっていてあまり気には止めないが、城の前には当時のままの石像が置いてある。
結界で守られており、汚れもせず、当時の空気が保たれていて、動かすことも壊すこともできない。
「それにねえ、魔法とやらをこの世に生んだのもルシャトリエさ。ルシャトリエを石にしたあと、世界中の石が力を帯びて、一部の動物は進化していった」
一部の動物とは魔物の事だろう。
しかし魔物の魔力はあまり高くない。
ほんの数1000年の出来事ゆえに、不完全な進化なのだ。
「昔からあったんじゃないの!?」
「溢れでた霊力が変化したんだろうねえ。まあ、妖怪だけはその変化についていけなかったってわけさ」
「えぇ〜なんかそれ酷くない?好きで使えない訳じゃないのにぃ!!」
妖怪は能力を持っているから、というのが今のところ有力な説だ。
自分の能力に誇りを持っている妖怪だからこそ、進化を望まなかったのかもしれない。
「仮に魔法が使えたとして、あんたは使わないだろう?」
「うっ、それはそうだけど……でも仲間はずれみたいじゃない?白姫もそう思うよね?」
「別に。外されたのならばそれに入れるよう努力すればよいではないか」
「努力してもできないから言ってるんだよお!!」
これではどちらが親かわからない。
それからしばらく、世間話が続いた。



夕暮れ。
太陽が西に傾き、もうすぐ夜が来る時間。
会話がやっとひと段落していた。
「今日は久しぶりに楽しい1日だったね、詩貴姉さん?」
「ああ、いい刺激になったねえ」
長い時間を生きる妖怪には、この1日もほんの少しの時間だったろう。
その少しの時間でも楽しいことがあるのなら、例え明日が退屈だろうと、生きるのは苦にならない。
「で、今日はもう暗いし危ないから、みんなで一緒に寝よう!」
「そうですね。ですが、おじゃましても良いのですか?」
「ああ、あたし達は構わないよ」
「ええー野宿ー!?さいっあく!!」
ベネジクトは駄々をこねている。
年頃の女の子なのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
「流石に布団は仕舞ってないよ…やっぱり地面に直接寝るの?」
「あたしらは木によっかかって寝るからねえ。やっぱりそれじゃあ無理かい?」
「座って寝るってことよね?無理無理寝らんないって」
仕舞っていないとは、きっと鞄代わりの空間のこと。
ベネジクトの空間には飴やガムなど、甘いものが多めだ。
「大丈夫ですよ。万が一にと思って入れておいた私のを貸しますから、それでお休みください」
「万が一に布団って……用意周到すぎでしょ」
「昔少しだけ旅をしていた時期がありまして、その時の名残ですよ」
そう言うと、真騎は異空間から布団を取り出した。
ベネジクトはそれを受け取り、地面に敷いて準備を整える。
「ふかふか!ありがとう真騎!」
「いえいえ。お役に立てて何よりです」
それに対して白道と白姫はというと。
「ねえねえ白姫ー、今までのこといっぱい聞かせてー!」
「お主に話すことなど何も無い。同じような日々を過ごしておっただけだ」
「咲姫さんとはどうだった?」
「どうと言われてものお……普通だったと思うぞ」
「普通じゃ分かんないよー!!もっと具体的に!!」
またもやどちらが親か分からなくなる会話を繰り広げていた。
2人の間にぽっかりと空いた時間を埋めようとしているのだろう。
しかし白姫には伝わっていない……と言うよりは知らない人にベタベタされている感じのようだ。
白姫は白道の記憶が全く無いのだから無理もない。
「すみませんが少し席を外させていただきます。城と連絡をとる時間ですから」
そう言うと真騎は、森の闇に溶けていった。



今日も昨日と同じように、シャン、サージャ、レイバーが通信室に集まっていた。
そして同じように通信を始める。
「光闇さん、聞こえますか?」
『はい、大丈夫です。聞こえていますよ』
「どうだったんだ?守り人は見つかったのか?」
『はい!無事に時の幻石の守り人、発見いたしました』
シャンはほっと胸をなでおろす。
調べていたものが事実だったのだと、改めて実感しているのだ。
「その調子で、他の方々もお願いします。出発前にも言いましたが、急いでくださいね」
『わかっていますよ。ですが、何故そんなに急がれるんですか?』
「そ、それは……」
居もしない真騎から目を逸らすようにそっぽを向くシャン。
冷や汗もかいている。
「シャン様、何を隠されていらっしゃるのですか?正直にお答えください」
「俺らにも言えないことっすか?」
「えっと……その、忘れてて……」
さらに誰とも目を合わせないよう下を向く。
「聞こえません。ハッキリ仰ってください」
シャンは意を決して顔を上げ、声を張って答えた。
「忘れていたんです!私の20歳の誕生日までにあの5人を集めて、もう一度封印し直さなければならないことを!!」
それを聞いた全員、真騎、サージャ、レイバーが目を丸くした。
シャンの誕生日まではあと半月もないからだ。
いくら1人目がすぐ見つかったとはいえ、他もそうとは言いきれない。
「本当ですかシャン様……?それに封印って……」
「記憶違いでなければ本当です。封印はもちろん、これのことです」
左目とは色の違う右目を指さす。
現在その目は見えてはいない。
『……もし期日を過ぎればどうなりますか』
「10年前の封印は解け、もう一度暴れ回るでしょう。あの方に取り憑いたままかどうかはわかりかねますが」
「それなら俺達も捜しに行った方がいいんじゃねえんすか!?大人数で捜せば間に合うんじゃ……」
「駄目です!!そんなことをすれば民を不安にさせてしまいます。それに兄様にも御迷惑をかけてしまうでしょう!!」
静寂。
それは4人が揃った時にはあまり流れることのない時間。
常に誰かが口を開いていて、それをうるさいと思いながらも皆耳を傾ける。
それ程重い話題なのだ。
『きっと間に合います。いえ、間に合わせます。なのでシャン様はいつも通り、仕事をなさっていてください』
「真騎……はい。わかりました。貴方が言うなら安心です。ですがこの事はくれぐれも内密にお願いしますね」
『羽前さん達にもですか?』
「時がくるまで、適当に誤魔化しておいてください。あまり広めたくありませんから」
真騎がわかりましたと返事をしたところで、この日の通信は終了した。



翌日の朝。
鳥はさえずり、少しの風が木々を揺らす。
そして東から登っている光が、皆の目を刺激した。
「眩しい……直で当たってんじゃん……」
「あ、おいこら二度寝するでない!!」
ベネジクトは光と声を遮るように、布団で自分を覆い隠した。
「ベネジクトさん起きてください。急がないといけないんですから」
「だってまだ夜が開けたばっかりじゃん……もう少しぃー」
旅をするようになってから恒例のやり取りである。
そしていつもずるずると引きずり、出発はこれから約3時間後程。
起きたら起きたで用意が遅く、時間をどんどん削っていくのだ。




それからいつも通り約3時間。
やっと支度が整い、2人と別れの時間が訪れた。
「じゃあね白姫。僕はずっと待ってるから、餡ちゃんと仲直りしたら絶対戻って来るんだよ!!」
「お主が来れば良かろうが。……気が向いたらな」
「うえええん寂しいから絶対来てよおお待ってるからあああ」
白道は泣きながら、微笑んでいた白姫を抱きしめた。
昨日会った時とは違ってそれは一方的ではなく、白姫もすんなりとそれを受け入れている。
「なんか違和感。会って3日だけど素直にハグとか白姫じゃないわね」
「お主斬られたいのか?」
「喧嘩はいけませんと何度も言ったでしょう。ではお2人とも、お世話になりました」
「また会おうねー!」
元気に手を振る白道と……その隣で呆れた顔の詩貴。
詩貴は一歩前に出ると、4人を引き止めた。
「ちょっと待ちな。あんたたち何しにここへ来たのかもう忘れたのかい?」
「守り人を探しにだ。それくらい覚えておるわ」
「……探して終わりじゃあ、あたしらの存在を確認しただけじゃないか」
「詩貴さんの話しいっつも遠まわしすぎ!!もっとわかりやすく言ってよー」
詩貴ははぁとため息をもらし、真騎の顔を見る。
真騎なら理解してくれているだろうということなのだろう。
しかし真騎の頭にも珍しくはてなが浮かんでいた。
「もしかして、何のためにあたしらを探してるのか聞いてないのかい?封印を……」
「あ!!わ、わかりました!!」
詩貴の声を遮るように、大きな声で言葉を返した。
おそらく昨日シャンに口止めされたためだろう。
まだ理由は言うな、と。
「着いてきていただけますか?時節さん。あなたがいた方が、他の守り人達も見つけやすくなりますし」
「ああ。もちろんさ。でもあたしはあいつらの居場所も今の姿も知らないよ。もうずっと会ってないからねえ」
「えっ、そうなんですか!?」
詩貴は扇子を広げ、口元を隠す。
そして高らかな笑い声を上げ、こう続けた。
「あんたたちと居ると退屈しなさそうだ。よろしく頼むよ、もうすぐくるその時まで」

10話 あとがき

めんどくさ……ではなく詰め込みすぎたうえに駆け足だったのでわかりづらかったと思いますが、流れが分かればそれでいいです。
もともとどこに入れようか悩んでいた話だったのであまり考えていませんでした。
聖職者なんて辻褄合わせに付け加えた設定ですからね!
これって当時だと魔女狩りとかいうのされてたんですかね?
だから歴史わかんないって言ってんだろ!!


守り人の名前が出てきてないのはもちろんわざとですので、彼らの出番まで名前は待っていてください。
とはいえ全く公開していない訳ではないです。
特別秘密ではありませんし。


では、次回も気長にお待ちください!!

幻石〜5つの石を探す旅〜 第10話

「アフラが泣くの初めて見た。アフラでも泣くんだね」
「う、うるせーぞリエ!!俺が感情のねぇ奴みたいに言うな!!」
「感情はあるよー。だっていっつも怒ってるし」
「あ"ぁ"!?」
「ほーらもう怒ったー」
「あんた達、そこいらでやめときなよー」
妹から挑発されそれに乗る兄は、見ていてなんとも滑稽である。
今日から家族も1人増え、兄妹はさらに賑やかになった。



第10話「全てを失い全てを手に入れた少女」



「そういやお前の名前聞いてないな。俺はアフラ。アフラ・ラウール」
「私はルシャトリエ・ラウール。長いからリエって呼んでね」
「不思議な名前だねえ。あたしは蛇穴(さらぎ)」
「サラギ?」
「お前こそ不思議な名前だな」
フランスから来た2人には馴染みのない名前。
そして和風なこの異世界に住んでいる蛇穴にとっても、2人の名前は馴染みがない。
「さて、そろそろ食料調達でもしようかねえ」
「この世界の食料って何があるんだ?見たところ人気も全然ないし、誰かが農業してるなんて思えないけど……」
「のうぎょう?よく分からないが、甘い実とかかねえ。あとは水辺に行けば魚だって採れる」
「甘い実!?それって果物ってことよね!?やったー!早く取りにこう!もうお腹ペコペコだよー」
空腹だと言うことが感じられない程元気に、ルシャトリエは1人で先に進んでいた。
ご機嫌に、鼻歌まで歌いながら。
「おーいリエ、そっちじゃないらしいぞー置いてくぜー」
「え!?もー!先に言ってよー!!」
「勝手に先に行ってたんだろーが」
「あっはっは!愉快愉快」
ルシャトリエは風船のように口を膨らませている。
こんな平和な日々もすぐに壊されることを知らず、3人は楽しい毎日を過ごしていった。



数日後。
彼女等は水辺にいた。
いつも水辺をキラキラと輝かせていた太陽は隠れ、代わりに灰色の雲が空を覆っていた。
今にも雨が降ってきそうな空模様。
「降り出しそうだねえ……2人とも、用は済んだかい?帰るよ。ここは危険だ」
意味もわからず、2人は言われた通りに蛇穴の後ろについて行った。
その時だった。
ぽつ、ぽつ、と降ってきた雫が、頬や腕を伝う。
「ちっ、もう降ってきたのかい。2人とも早く走んなあ!!妖怪がくるよ!!」
その言葉を聞いた途端、足が早くなる。
先頭はアフラだ。
その後ろに、半分引っ張られながら走っているルシャトリエ。
最後尾に、後ろを確認しながら走る蛇穴。
次に後ろを確認した蛇穴の目に飛び込んできたのは……。
「来たねえ、妖怪。……あんたたちは先に帰んな!!あたしはこいつを足止めしとく!!」
「えっ、でも……」
「いくぞリエ!!もたもたすんじゃねえ!!」
彼女らの何倍もある大きな体、ぬるぬるした皮膚。
そして、ルシャトリエの背丈程ある牙。
雨の時に現れる危険な妖怪だ。
「あたしもここで終わりかねえ……おいあんた、ちっとばかし話を聞いてくれないか?」
返事はただの唸り声だけ。
話せない、考えられない、生きるためだけに狩りをし、やがてその身は朽ちていく。
進化していない、古代のままの妖怪だ。
「無理、か。食べるならあたしを先に食べな。あいつらには触れさせないよ。やっとできた家族なんだからねえ」
妖怪の牙は、蛇穴の頭上に落とされた。



家、と呼べるものはない。
あるのはあちらから持ち込んだルシャトリエのぬいぐるみや、読めなかった手書きの地図、暑いからと脱ぎ捨てたアフラの上着などなど。
家である洞窟に帰ってきた2人は、走り疲れた体を休めていた。
「途中……私、浮いてた……かも」
「お前が……遅いからだろ……あ"あ"疲れたー!!」
息が整うまで少し時間がかかった。
いくら若者と言えども、かなり走ってきていたし、アフラはルシャトリエを浮かせる程手を引いていたのだから仕方ない。
化け物、そして疲労の次に2人を襲ってきたのは、不安だった。
「大丈夫かな、蛇穴さん……」
「あいつは再生すんだろ、死なねえよ。多分」
「そうだよね」
静かな時が流れる。
聞こえるのは、先ほどよりも酷くなった雨の音と、洞窟内に響くバチパチと燃える炎の音。
しかしだんだんと、それとは明らかに違う何かが聞こえ始めた。
小さかったそれは、少しずつ大きくなっていく。
「な、なんだ!?」
地震!?」
ルシャトリエの言う通り、微かに地面が揺れていた。
しかし地面の揺れる音ではない。
「もしかして、さっきの妖怪!?」
「え、うそ、じゃあ蛇穴さんは……!?」
「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ!!それよりも、さっさとここから逃げんぞ!」
火を消して、入口から外を確かめる。
そこに見えたのはいつもと変わらない風景だった。
まだ見える位置にはいないらしい。
「今のうちだ。行くぞリエ!!」
「行くって何処に!?」
「んなもん知るかよ!どっか遠くだ!!」
ルシャトリエの腕を掴み、逃げてきた方とは逆の道をただひたすら走る。
土砂降りの雨は汗を混じえて体中を伝い、濡れて重たくなった髪は風になびかず顔に張り付いている。
聞こえる音は雨音、2人の足音、息、そして少し遠くから聞こえる妖怪の足音。
必死に逃げても距離は縮む一方だ。
「あの妖怪、早いよ!」
「早いんじゃねえ、1歩がでけぇんだ!!」
とうとう妖怪の影で、あたりは真っ暗になってしまった。
振り向いたらもう終わり。
いや、振り向かなくてももう終わり……。
「……リエ」
「なに?」
前を走っているために、ルシャトリエからはアフラの顔は見えない。
そしてアフラはルシャトリエの手を離して叫んだ。
「お前は先に行け!!早く!!!」
実の親もこうやって死んだ。
幼かった2人の弟も、自分のせいで死んだ。
新しく出来た親も、友達も、蛇穴まで……。
周りばかり消えていく。
そして今この瞬間にも。
大きな牙は抵抗を許さず、アフラの脳天を貫いた。
1度に2人も失った悲しみが、絶望が、彼女の力を開花させた。
「もう、誰かが死ぬところは見たくない!!ずっと一緒に居てくれる人はいないの!?なんで私ばっかり生き残るの!?独りぼっちはもう嫌だ……!!」
突然、ルシャトリエの周りに結界が張られ、彼女を襲おうとした妖怪の牙を粉砕した。
次に1つの小さな光が彼女から飛び出した。
「何これ……私、魔法が使えるの?」
『いいや、違うさ。これはあんたの霊力が生み出したものだよ』
『俺らがぶっ潰してやっから、そこで見てな!!』
「誰!?」
『ここよ』
『君の目の前にあるでしょ?』
『君が生んだ、光輝く石が』
脳内に直接響いてくるような感覚。
これはあの光、もとい石から発せられていたらしい。
すると、その石は5つに分裂し、人の形をとった。
1人は女性、翠色の髪の緩い1つ結び、両耳には時計型のチェーンピアス。
1人は青年、質の硬い金髪を耳の横で束ねていて、長い前髪のせいで左目が殆ど隠れている。
1人は女性、黒い2つのおさげと黒い眼鏡、手に持つ本はお札の塊。
1人は少年、灰色の道着に黄色のズボン、灰色の髪には白いハチマキが巻かれている。
1人は少年、黄色の中華服を纏い、水色の髪とピンクの目を持っている。
「蛇穴さん……アフラ、みんな!!」
5人はそれぞれルシャトリエの知る人物の姿であった。
しかしそれは姿だけで、名前や記憶は全て別人。
「あたしらはあんたの知ってる奴らじゃないよ。時節 詩貴、これがあたしの名前さ」
皆名前だけ告げると、妖怪の方へ行ってしまった。
見事瞬殺、5人も居たからだろうか。
こうして彼女の命は守られた。


無事一息つき、一瞬にして起こった出来事を頭の中で整理する。
「蛇穴さんも、アフラも……もういないんだ…………」
ルシャトリエの目には涙が浮かんでいた。
それを詩貴が、蛇穴がアフラにしたように包み込んだ。
ルシャトリエもまた、アフラと同じようにわーわー泣いた。
静かな昼下がり。
雨は既にあがり、太陽は6人を照らしていた。


しばらくして落ち着くと、ルシャトリエが口を開いた。
「ねえ、あなた達は何者?石?それとも人?」
返事をしたのは、アフラによく似た紫色の目をした青年。
「簡単に言っちまえば、俺らはお前が創り出した存在だ。つまりお前の霊力の塊ってとこだな」
「それが石の形を成しているだけ。私達はあなたがくれた力で、どんな姿にもなれるの」
黒髪の女性はさがった眼鏡を上へと上げた。
それと同時に、青年の言葉に一言加える。
石でも人でもない、言うなればルシャトリエの分身である。
「じゃあ、魔法みたいなものは使えたりするの?」
5人は顔を見合わせた後、少し思案した。
つい先程生まれたばかりの彼らには難しい質問だったのかもしれない。
だが、それ程物思いに時間は取られなかった。
「自分が司るものに関する能力なら使えるよ。お姉ちゃんの言う魔法とはちょっと違うかも」
「俺達はそれぞれ時間、空間、知識、意思、感情の5つを司っているんだ。例えば、詩貴は時間を司るから、時を操ることが出来る」
ちびっ子2人の返事。
5人は元は1つということもあり、知識の量には変わりないらしい。
それも、生まれた時から既に自分や他の者たちのことについて知っていた。
名前も既についていた。
なんとも不思議な存在である。
「聞き方を変えるね。私を石に出来る?」
「は?お前何言って……」
「遠まわしに殺せとでも言っているのかい?」
「違うよ!!私は眠りにつくだけ。神様がそう仰ってるの」
聖職者の素質を持っていたルシャトリエは、度々お告げを受けていた。
住んでいた村で戦争が起こることも、たくさんの人が死ぬことも。
畑が台無しになることも、飢餓が訪れることも。
知っていてもなお、防ぐことが出来なかったお告げ。
しかし今回は違う。
「私が石像になってこれからどんどん増える住人を見守る使命をさずかったの。だからお願い。この世界の中心に、私を石にして置いて」
「……ここまで言ってんだ。あたし達の主様の願いを叶えないわけにはいかないねえ?」
「そうだな。後のことは任せろ、この世界は俺らが守るからよ!俺の力で人間も呼んでやらあ」
「じゃあ、中心に行きましょう。きっとすぐそこよ」



歩いて数分。
世界の中心、つまり島の中心へとたどり着いた。
そこには美しい湖があり、地面の底まで見られる程に水も綺麗だ。
「じゃあいくよ。本当にいいの?石にしても」
水色の少年が問う。
しかしそんな心配は無用で、ルシャトリエは躊躇なくいいよと返事をした。
そして5人は、儀式を始める。
輪になってルシャトリエを囲み、彼女の方へ右手を伸ばす。
何も見えないほど眩い光が周辺を覆い、次の瞬間には、ルシャトリエは石像になっていた。
両手を広げて浮かんでいる、不思議な石像。
広げた両手の間には、5つの幻石も一緒に浮いていた。
表情は柔らかく、それはまるで聖母のようでもあった。



これが幻石の歴史。
孤独な少女が生んだ、自分の守り人。
彼女は今日も、この世界の中心で全てを眺めている。

9話 あとがき

随分お待たせしたうえに少し短くてすみません。
多分妖怪の能力決めるのに1ヶ月くらい放置してました。

たまに皆さんの脳内での登場人物の姿が気になります。
私は無駄に細かく容姿を決める人なのでどの位かけ離れているのか知りたいですね。
Twitterであげている子も居ますが、例えばいつかのチモールやメチルはどこにも公開していませんし。
皆さんのうちの子が見たいなーとか|ω・)チラッ
でもメチル先生は私も考えてなかったですわてへっ(真顔)


さて、作中で人間には妖力の強い者と弱い者がいるみたいなこと書いてましたが、それはあくまでも幻石世界ではなく地球世界の話しなのでベネジクトとかは妖力もってます。
妖怪はみんな見えます。
だからほら、白姫だって白道さんだって見えているでしょ?

今回新キャラが登場したので追加しておきます。
見たらわかる通り、たどり着いたのは2の島です。

歴史にとても弱いので鎖国前は船なんて来ねえよアホとかなってたらすみません。
もし間違っていたならそういう設定なんだと思っていただければ幸いです。