幻石〜5つの石を探す旅〜

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幻石〜5つの石を探す旅〜 第1話

ここは6つの島からなる、地球とは違うもう1つの世界。
この世界には昔から伝わる伝説がある。
時、空、知、意、感を司る、それはそれは綺麗な5つの石があると。
この5つの石を皆は幻石と呼ぶ。


第1話「選ばれた4人」


ここは6の島の中央にある"アレス城"。
城内にある図書館で、1人の女性が何かを調べていた。
「ありませんねぇ……」
美しい青色の髪とオッドアイの眼を持つ女性は、何十万冊もの本とにらめっこをしている。
女性が途方に暮れていると、扉が開き、1人の男性が入って来た。
「ここにいらっしゃいましたか。何かお探し物ですか?」
「とある人物についての本を探しているのです……」
「人物についてでしたらこのあたりに――」
「そこはもう見終えました」
この会話中も女性は本を読み続けている。
普段あまり読書をしていないのか、速度は遅い。
「どのような人物ですか?」
男性が質問を投げかけた直後、女性の顔から笑みがこぼれる。
タイミングが悪かったようだ。
「ありました! これです! 私が探していたものは!!」
そんな感動もつかの間。
女性は男性に命令を下した。
「真騎、住民の名簿を持ってきなさい」
「は、はい! すぐにお持ちします!」
真騎と呼ばれた男性は、小走りで図書館から出ていった。
それを見送ると、女性は椅子に座りひと息つく。
「急がなくては……」


数日後。
アレス城大広間。
「まだ来ないわけ?ねえ王女様、ほんとに呼んだの?」
「最後の方は魔法が使えないので徒歩なのです。もうそろそろではないですか?」
質問をした少女は、王女様……この間本を探していた女性によって呼び寄せられた人達の1人。
露出の多い服の上に橙色のローブ、同色のとんがり帽子をかぶっている。
典型的な魔法使いのようだ。
加えて水色の髪と橙色の瞳を持ち、スタイルは抜群。
「眠い」
「さっき寝たばっかりじゃん……」
この眠そうに目を擦る少年も、呼び寄せられた人達の1人。
シルフの特徴であるとんがった長い耳を持ち、服装は白いワンピース。
深緑の髪と瞳が、色白の肌によく映える。
シルフとはこの世界の妖精の一種だ。
「ごめんね、もう少し我慢してね」
王女様が近づくと、そばにいた真騎の後ろに隠れてしまった。
それも反射だったようで、本人も驚いている。
「どうしたのですか?レスト君?」
「!?……女の人は嫌い」
レスト、これが少年の名前らしい。
真騎の後ろに隠れたまま、ちらちらとこちらの様子を伺ってくる。
よほど苦手なようだ。
「それはごめんなさい。なるべく近づかないようにしますね」
王女様がレストから離れ、王座に戻った直後。
「羽前 白姫!只今参った!!」
大きなドアが勢いよく開かれ、頭のてっぺんからつま先まで真っ白な人が現れた。
1つに束ねられた純白の髪は、足首程までの長さだ。
「あ、えっと、ド、ドアはゆっくりと開けてくださいね?」
「わざわざ遠くから来たというのに門番は通してくれぬとほざき、能力まで使わせるとは!この城はどうなっておる!?」
先程まで保たれていた静かな雰囲気が、たった1分と経たずにぶち壊された。
まるで嵐のようだ。
「そりゃ怪しい奴は通さないでしょ?馬鹿なの?だから手紙があるんじゃん?」
「あっ……」
手紙とはもちろん、王女様が送った物である。
その証拠に、その手紙には青いインクで王族印が押されている。
「それでは、全員集まったのでまずは自己紹介からですね。私はシャン。一応王女です」
シャンはウンディーネの女性。
ウンディーネも、妖精の一種である。
女性とはいっても、まだ19歳だが。
「私は光闇 真騎と申します。この城の回復部隊隊長兼シャン様の側近をさせていただいております」
白姫とは違い、頭のてっぺんからつま先まで真っ黄色な容姿をしている。
回復隊は目立たなければならないのかもしれない。
「うちはベネジクト、見たまんまの魔法使いだよ」
常に飴やガムなど、甘いものを口に入れている。
身長は、ブーツを履いているため160半ばといったとこだろう。
「レスト……魔物と一緒に戦う」
小さな子にしては珍しく、あまり喋らないらしい。
知らない人ばかりだからなのかもしれない。
首から提げている笛は、契約した魔物を召喚するためのものだ。
「我は羽前 白姫。透明になることができるぞ。無論、することも可能だ」
使わされた能力というのはこれのことだろう。
大方、透明になって侵入したに違いない。
「それでは、本題に入りますね」
シャンの顔から笑みが失われた。
それと同時に、静かな雰囲気も取り戻す。
「あなた方には、幻石を探しに行っていただきます」
「はぁ!?幻石ってただの伝説でしょ!?」
「正確には、幻石の守り人を探していただきたいのです」
「守り人?そんな人物、実在するのかの?」
守り人は伝説には出てきていない。
ましてや幻石が存在するかも定かでないため、想像のつかない者である。
「確証がない者を探させるためにわざわざ呼び寄せたりしませんよ」
「でもなんで?探して何かあるの?」
「詳しいことは話せません。ですができる限り急いでいただきたいのです」
シャンからは完全に余裕が消えていた。
どうやら本当のことらしいと、他の4人は納得する。
「それならうち1人で十分ね」
「我も1人で十分だ」
「ふふっ、話のわからない愚民共ですね?バラバラに探して、果たして効率が上がりますか?」
「シャン様、言い過ぎです」
「あら、すみません」
嘘がつけないのか、腹黒さがただ漏れだ。
もはやただの毒舌になっている。
「良いですか?あなたたち4人で、協力して、必ず帰ってきてください。世界を救うと言っても過言ではありません」
「急に責任が重くなったわね……」
「大丈夫ですよ。ちゃんと真騎の言う事を聞いていれば、ですけど」
白姫とベネジクトは肩を震わせた。
レストは理解できていないのか、それとも聞いていないのか、顔色1つ変えていない。
「では、行きましょうか。急がないといけないみたいですし」
「もう行くのか!?先刻到着したばかりだというのに……」
「仕方ないでしょ、ほらさっさと行くよ」
「眠い……」
こうして全く違う4人の旅が始まった。