幻石〜5つの石を探す旅〜

素人の一次創作、幻石のサイトです。

術について

3の島のどこかに存在している村には、修行を積んだ忍という者が居る。

修行する事で己の魔力を高め、魔法道具無しで扱う魔法をここでは術と呼ぶ。

魔法と同じ5つの属性があり、発動する時は火魔法や草魔法ではなく

火→深火術(しんかじゅつ)

草→深草術(しんそうじゅつ)

水→深水術(しんすいじゅつ)

光→深光術(しんこうじゅつ)

闇→深闇術(しんあんじゅつ)

という単語を頭に付ける。

魔法道具(主に武器)を用いて魔法を発動させている者もいるが、この村では魔法という概念が無いため全て術と呼ぶ。

 

 

魔法と同じ点は、スペルストーン(ここでは輝石(きせき)と呼ぶ)を所持していなければ使えない所。

魔法使いはアクセサリーにして持ち歩くが、忍は属性モチーフの形にして額当てに埋め込んでいる。

また術は魔法に比べてレパートリーが少ない為か、ナンバリングではなく直接名前を付けて管理している。

特別に規則は無いが、ほとんどの者が造語を含めた四字熟語をそのまま名前にしている。

 

 

術も属性によって得意な効果が異なる。

魔法と同じなので、詳しくは魔法記事参照。

 

 

 

妖精について

魔法の記事でも紹介した通り、属性毎に妖精が存在する。

火、サラマンダー

草、シルフ

水、ウンディーネ

光、ピクシー

闇、インプ

火草水の妖精は至って普通に暮らしているが、ピクシーとインプは伝説とされ未だ見た者はいない。

人には見えないからだとか、絶滅しているからだとか、諸説あるが真偽は不明。

純血の妖精は例外なく対応した属性しか使うことができない。

詳しくは魔法記事参照。

 

妖精は人間に比べて背が低く、羽があるのが特徴である。

一番早く飛べるのがシルフ、他は同じくらい。

羽の形は人それぞれ。

耳の形状は種族によって異なる。

下記の図参照。

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なおピクシーとインプは想像上の生物に等しいので、こちらも真偽は不明。

また、サラマンダーは褐色肌、シルフは色白肌が多い。

髪や目の色はだいたい属性に対応した色となる。

ただし異属性の混血の場合は除く。

 

 

 

 

 

17話 あとがき

前回に勝るとも劣らない怒涛の展開!

皆様ご理解頂けたでしょうか?

ずーーっと書きたかった3の島編、楽しませて貰います!

戦ということで、ファンタジーには付き物な戦闘シーンが!ようやく!ようやく!!出てきます!!!

わかりやすい構成になるよう精進して参りますのでどうかお付き合いくださいませ。

新しいキャラも登場しましたので、例の記事も更新しておきます。

 

さて、数年悩みに悩んだ国府宮の性別が決まりました。

妹の桜樹と、兄の夜桜。

元々のキャラ設定を掘り返すと実は性別が逆なのです。

そもそも姉弟ですら無かったわけですけど。

そして次回また新しい人物が登場しますが、一旦収まると思います。

なんせ仲間はもちろん敵もいますからね。

がんばって覚えてねとしか言えません…

そう言えば術についての記事も作らないとですね!妖精もあったね!

することが山積みだぜ!

次回もよろしくな!

 

 

 

幻石〜5つの石を探す旅〜 第17話

どこかの屋敷の庭で、桃色の髪飾りを付けた黒髪の男性……否、女性とも見て取れる中性的なその人物は、いつもと変わらぬ日々を過ごしていた。

いつも通り手入れされた大層豪華な庭を、いつも通り眺めながら歩く。

しかし今日は1つだけ、いつも通りとはいかない出来事があった。

「……矢文?」

木造の屋敷に綺麗に突き刺さった一本の矢文。

それを引き抜き、括りつけられている紙を解く。

何の変哲もないただの紙切れだ。

中には達筆な文字で、こう書かれていた。

『1週間後に戦を仕掛ける』

「なんだ?悪戯か?」

くだらない、とその紙を捨てようとした時。

ちらっと見えたその2文字に、悪戯ではないと確信を持った。

それは手紙を読んだ人物がよく知る名前であった。

何故なら……。

「これが本当なら……くそっ!!」

それは昔、その名の者が自分の付き人だったからである。

 

 

第17話「シフト」

 

 

「戦って……なんで!?そんなことしたら城に見つかってるはずじゃないの!?」

「私達の村は、忍が多数住む場所です。隠すことは得意ですから」

3の島の奥の方に存在する隠れた村。

外部から人が行くことは出来ず、何処にあるかは知られていない。

そこに住む忍と呼ばれる者達は、その名の通り、忍ぶことが得意なのだ。

忍の手により、村は存在を隠すことができる。

「いつからですか?」

「半年程前からです」

「半年前ぇ!?」

真騎に回復されながら、淡々と答えていく青年。

話しを聞く限りでは仕掛けてきたのは向こう、3の島の長らしい。

大方回復が終わったのか、青年は起き上がる。

「何故城に助けを求めぬのだ?戦を隠す程の力があるのならば、敵に見つからず伝える事も容易かろう」

「敵が敵だからですよ……私達はこの戦から逃れることなどできないのです」

「なんで?王様にでも言えば速攻裁かれて終わりじゃん?」

「そんな簡単な事ではないんです……元を辿れば、火種を撒いたのは私達の方なのですから」

 

 

某所。

そう呼ぶに相応しいこの場所には人気は無く、ただひたすらに時が流れているばかりだ。

その中に建てられた綺麗な木造の家に、桃色の髪飾りを付けた者は居た。

「一番大切な奴から救え、か……」

青年が立つ大広間には、虫一匹さえいない。

否、虫でさえ来ることができないのだ。

矢文に書かれていた2文字の名前は、本人が書いたものに違いない。

何故ならこの名を知るものは、この村にはその家族と国府宮家の者しか居ないから。

虫でさえ入ることができないこの場所に矢文を射ったのは本人だ。

何故なら、その人物ならこの場所に入れるからである。

監視をくぐり抜ける以前に、この村に辿り着く事が出来るのはこの村出身の者のみ。

つまり入れる者は仲間とみなされ、安易に攻撃される事はないのだ。

もちろん、監視されない訳では無い。

「てめぇの大切な奴さえ救えねえのに、言えた口じゃねえな」

そう零した時、近くに突然翡翠の目をした少年が現れた。

何をするでもなくただ突っ立っている青年に、少年は口を開く。

「悠長なこったなぁ。報告だ」

「うるせえよ。で、わざわざ何を言いに来た?通信すればいいだろ」

「直接言った方がいいと思ってな。……桜樹を港へ逃がした」

「青梅達はどうしてる?」

「村の中で今も戦ってる。数十の敵兵に囲まれてな」

「はぁ!?村の警備はどうなってんだ!救援を寄越せ!早くしろ!!」

「言われるまでもねえよ。警備はもう意味ねえからぶち込んだ。けどまだ人員が足りねえ。どっから割く?」

元々人口の少ない村だ。

加えて敵は3の島の長。

兵数の差は目に見えていた。

「蒼泉(あおい)達はどうしてる?部隊ごとやれ」

「そいつは無理な願いだな。あいつらも前線で敵と交戦中だ。しかもかなり強い」

「……損傷はどのくらいだ?」

「青梅達は完全に押し負けてる。主力は1人だが相性が悪い。蒼泉達はなんとか戦えてるが、それでも敵2人に対して4人と回復1人。雑魚はそれ以外がやりあってるってとこだ」

明らかに偏る兵数の差を、こちら側は戦力で補っている。

これも普段から鍛錬を怠らないおかげ。

しかし実戦慣れはしていないため、どうにも事が上手く運ばない。

ましてやリアルタイムで大勢に指示を出すなど、訓練していても難しいだろう。

「俺は難しい事はよく分からねえし、どれが最善策なのかもわからん。だから俺が最前線へ出る。後のことは蒼泉にでも聞け。もっとマシな回答されるだろうよ」

「おいてめえふざけてんのか?冗談抜かしてると殺すぞ」

「冗談言ってるように見えるか?あいつに任せた方が上手くいくって言ってんだよ。少なくとも俺より頭が切れるだろ」

「まあ一理あるな。てめえに任せてちゃあ壊滅しちまいそうだしな」

「そうかよ。だったら行け、俺は最前線へ向かう」

「了解」

それだけ言うと、少年はまた姿を消してしまった。

「さて、いい加減俺も暴れに行くか」

 伸びをしながら、青年もその場を去った。

 

 

「敵の大将は人質として送り込んだ元仲間ぁ!?」

青年から説明を受け、驚きを隠せないベネジクト。

3の島の長は元々村の者、しかも現将軍の付き人だったらしい。

「ですから、逃げる選択肢など我らには無いのです」

「しかし何故お主はそこまで知っておる?ただの平民ではないのか?」

「私は……国府宮 桜樹(こうのみや おうじゅ)。現将軍である夜桜様は、私の兄上です」

「じゃあ王子様!?そんな格好してんのに!?」

そんな格好、とは、ボロボロになった弓道着のこと。

袴の緑は血の赤と補色になっており、あまり目立たない。

「い、いえ……姫……です」

「えっ、ハチマキまでしといて?」

「人の事は言えぬが、紛らわしい容姿だのう」

すると桜樹、額に巻いたハチマキをするすると解いていく。

「この格好は病弱な私の為に、少しでも夜桜様の方に目がいくようにと計らってのことなのです。ハチマキもそう」

露わになった額には、桜の花弁が刻まれていた。

綺麗な桃色だ。

「この紋様は国府宮の血を受け継ぐ証。隠しておけば狙われる可能性も薄れると……いえ、今はそんなことどうでもよいのです!どうかお力を貸して頂けないでしょうか……?」

「しかし我等はただの旅人だ。大した事は出来ぬぞ」

「夜桜様の所まで私を連れて行ってくださるだけでよいのです!お願いします!」

「関係ないうちらを危険にさらそうっての?それはちょっと調子のってんじゃない?」

「それは……っ!ゴホッゴホッ!」

突然胸部と口を押さえ前に屈む桜樹。

元々の体質のせいで、回復されてもなお身体は弱っているようだ。

「私ではこれ以上の回復はできかねます。早くお医者様に診てもらった方がよろしいかと」

「自分だけ逃げ延びるなど、私には……っ」

「仕方がない。我が背負って行こう」

「本当ですか!?ありがとうございます!この御恩はきっと……!」

桜樹が微笑む。
今にも周りに桜が舞いそうな柔らかい笑顔だ。
対するベネジクトは、その花を全て散らしていきそうな勢いで白姫に言った。

「はあ!?あんた正気!?」

「旅の目的を忘れたか。どのみちここを通過せねば調べることも叶わんのだ。道案内もしてくれるというのならば、乗らぬ手はあるまい」

「そうかもしれないけど!」

「何より我なら気付かれずに向かえる。消えれば良いのだからな」

「ちょっと待って。うちら置いて行こうって訳?一番納得できないんだけど」
いつもの喧嘩とは違う、ピリピリとした空気が流れる。
命がかかっていると言っても過言では無いのだから、当然のことだ。
「お主らも来れば良かろう。我に間接的にでも触れておけば効果は得られる」
「そうじゃなくてーもーー真騎ー!!」

「羽前さん1人で行くのは私も反対です。そうですね、敵から見つかる可能性が高まりますが……」
真騎は桜樹に当てていた杖を白姫に向け、呪文を唱える。
「光魔法、その35」
杖から放たれた黄色い光が白姫を包み込む。
やがてそれは目視出来なくなり、存在を消した。
「自動回復してくれる膜です。偶然出来た魔法なので、効果はあまり期待しないでください」

「十分だ」

「で?うちらはどうすんの?」

「もちろん、このまま旅を続けます」

真騎の嘘偽りのない笑顔に、ベネジクトはただ唖然とするほか出来なかった。

 

 

再び舞台は戦場へ。

青年と別れた緑の少年、翠閃(すいせん)は、とある雑木林の木のてっぺんに居た。

「この辺でいいか」

深呼吸。

それに続けて指を組む。

「深草術、百花繚乱!!」

目を閉じ、精神を統一させる。

ゆっくりと、そして確実に、聞こえないはずの戦場の音が耳に伝わってくる。

サージャが行っている通信と同じ物と言えば少し違うが、それに限りなく近いものだ。

忍と呼ばれる者達は、"魔法"ではなく"術"を扱う。

用いるものは両方とも潜在している魔力だが、決定的に違うことが1つだけある。

それは魔法具、いわゆる杖などを使わないこと。

修行によって魔力を高め、己自身の身体で発動するのだ。

「蒼泉、勅命だ。聞け」

『簡潔に頼む』

「夜桜が指揮を放棄した、お前に権限を託してな」

『予想はしていたが、本当に丸投げなさるとは……はぁ、戦況を教えろ』

蒼泉は夜桜直属の忍班のリーダーであり、忍全てをまとめあげる家系の跡取り娘でもある。

その肩書きに恥じぬ頭脳と技能を持ち合わせ、皆の信頼も厚い。

『……なるほどな。夜桜様が最前線へ出向かれたのなら、私達は村の方へ下がる。夜桜様から敵を遠ざけつつ青梅達と合流するぞ。いいな』

 「相変わらず指示がはえぇこったな。了解だ」

そう言って、組んでいた指を解き目を開く。

再び深呼吸をし、先程と同じ術を発動する。

今度は戦場にいる味方全員に話しかけているのだ。

「全軍に告ぐ!気付かれぬよう少しずつ後方へ行け!手の空いた奴は青梅部隊の元へ向かうこと!青梅部隊は援軍が来るまで耐えろ!以上!!」

『えぇー私達は耐えろって酷くないですかー!?結構ギリギリなんですけど!?』

「黙って殺り合ってろ。敵はガキ1人同然だろうが」

『状況知ってるくせに!翠閃の鬼!』

「あ゛ぁ゛?そんな舐めた口聞けるようならまだ余裕そうだな?援軍やらねえぞ」

『分かりました!分かりましたよお!!』

指を解く。

伝えるという任務を終えて木のてっぺんから少し降りると、太い枝に腰をかけた。

「動きすぎたな。澄桃(すもも)んとこにでも行くか」

そしてまた、その場から姿を消した。

 

16話 あとがき

詰め詰めの回でしたが、皆様ご理解頂けたでしょうか?

アレス城と通信を取っている所でなんと新キャラが3人も出てきましたが、覚えなくても大丈夫です。

浅葱は番外編でチラッと出てきてますが。

という訳で、登場人物一覧に追加しておきます。

 

それではお次に、こちらのイラストをご覧ください。

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とうとう使う日がやって参りました!

次回より3の島編に突入致します!

こちら去年の10月半ばに描いてるんですけど、このペースで行くと一年経ちそうですね。

不思議だなー!

終了する頃にはこの絵の意味が分かる…かもしれません。

ゆっくりですがまだまだお付き合いくださいませ!

それではまた次回でお会いしましょう。

幻石〜5つの石を探す旅〜 第16話

「なんで探すのに30分もかかるの!!すぐそこじゃん!!」

見事にフラグを回収し、船の持ち主を探すのに3倍の時間を費やした4人。

歩いて10分もかからない目的地を目指して、周りをぐるぐるとしていたのだ。

「お主が途中から反対方向を目指したからであろう。地図も読めぬのか」

「あんただって反対しなかったじゃん!うちのせいじゃない!」

「問い正したのに地図も見せず先に進んだ貴様に責任があると思うがな!」

 「いいじゃないですか、見つかったんですから。終わりよければ全てよしですよ」

はいと言わせんばかりの笑みで二人を宥める真騎。

聖母とまで謳われた笑みである。

「お主の笑顔、時々恐怖を感じるのだが……気のせいかのう」

「うちも同意見」

「ふふ、私はただ笑っているだけですよ。早く行きましょうね」

 

 

第16話「悪いお知らせ」

 

 

見事舟を出してもらえる事になった白姫一行。

簡単に事情を説明し、急いで準備を進めていた。

と言いたいのだが……。

「ごめんなあ。もうすぐ日が暮れるから出せないんだよ、舟」

「はあああ!?なんでよ!夜でも舟くらい出せるでしょ!」

「あたしの舟にゃライトが無いのよ。夜には出さないかんね!ははは!でも乗り心地は保証するからさ、また明日訪ねてくんね?」

半ば強引に追い出され、手持ちぶたさになってしまった4人。

今夜は野宿するしか無さそうだ。

「えーまた野宿ー!?泊めてくれたっていいのにー!!」

「甘えっぱなしになるわけにもいきませんし、今日は一旦引きましょう」

 『だったら戻ろうぜー。2の島先端《ツーポイント》によぉ』

一瞬の静寂の後、ベネジクトが口を開いた。

「え!?あんた喋れんの!?」

『おう?ったりめーよ』

石の状態でも会話は出来るらしく、乙人が話しかけてきたのだ。

「先に言ってよね!無駄に歩いたじゃん!!」

『運動しないとデブっちまうだろうっていう俺様の心優しい配慮だろ』

「は?」

『大変お美しいお身体でございますね』

「いい加減にしないと叩き割るぞ」

『褒めたのに!褒めたのに!!』

石状態の乙人の声はエコーがかかったように聞こえ、終いには石そのものが浮いて動いている。

傍から見ると奇妙な光景だ。

幸い周りには4人以外誰もいないが、人気のある場所でうっかり話してしまった時には白い目で見られるだろう。

それどころか動いて話している石を見られたら通報されるかもしれない。

もちろんアレス城にである。

「いいから早く移動させんか」

『俺は都合の良い道具じゃねえんだぞ!幻石様だぞ!!』

『ごちゃごちゃ言ってないで早くワープしな』

『姐さんまで……うぅ!わーったよ!ワープすりゃいいんだろー!!』

白い光が皆を包み、光が消えた時には誰の姿も見当たらなかった。

 

 

「なんでこんなにこき使われてんの……」

「ヒーローなんだろ?人の助けをするのがそれじゃないか」

「ハハハ!俺様になんでも頼りな!」

ワープしたあとまた詩貴に連れ回され、夕食の材料集めをしていたのだ。

今は夕食も取り終え、夜に向けて備えをしているところである。

「あんた役に立つわー魔法使わなくていいし」

「ヒーローだからな!ハハハ!!」

すっかり調子に乗っている乙人。

空っぽな乙人の脳では、いいように使われているという発想がないようだ。

「馬鹿も使いようね」

「扱いやすくて助かるのう」

「あんたもあのくらい素直になればいいのに」

「それはこちらの台詞だ」

「はいはい、言い合いはそこまでです」

「あはは!愉快愉快。あんた達といると本当に飽きないねえ!」

複数人の声が交わるその空間は、今日も平和だ。

「そろそろ城との連絡を取る時間なので、席を外します。私がいない間に喧嘩しないでくださいね」

 そう言うと真騎は、森の方へと姿を消した。

「毎晩連絡取ってるけど、うちらも聞かせてくれたっていいじゃんね?」

「聞いてはならぬ事もあるのだろう。それくらい自分の頭で考えぬか」

「はあ?何?喧嘩売ってんの?」

「真実を話したまでだ」

「上等じゃん!その長い髪燃やしてやるんだから!!」

「あの坊やも大変だねえ。こればっかりは同情してやらないといけないねえ」

 

 

「ふえええん光闇隊長おおおおおお!!私じゃ無理ですぅ早く帰ってきてくださぁい!!」

『お、落ち着いてください春麗(ちゅんりー)さん……!』

いつものアレス城通信室。

今夜は少し違う面子も揃っているようだ。

「だってぇ皆さん優秀でぇ!私だけお仕事終わるの遅くてぇ!!」

『大丈夫ですから……帰ったら私がやりますし、ね?』

「それでは私が副隊長を任されている意味がまるで無いじゃないですかぁ!!」

薄紫の髪に濃い紫のチャイナ服を纏った彼女、春麗は、アレス城回復部隊副隊長。

真騎が出ている今は、実質隊長という訳だ。

「ずーっとこれなんだけどどうにかなんねえ?なあ真騎?」

『こればっかりは自分のペースで頑張ってくださいとしか……』

流石のレイバーも困っているらしい。

彼の部下からも、春麗をどうにかして欲しいとの報告が上がっているのだ。

「何か助言を貰えたらと思って春麗を連れてきたのですが……」

「効果は得られなかったようですね」

 『申し訳ないです……』

とその時。

ガチャりと扉が開き、誰かが中へ入ってきた。

「通信中失礼致しますー。春麗はん来てます?」

「あ、浅葱さん……私なんかに何か御用でしょうか?」

「ちょいと遊びに付きおうてもろう思ったんですわぁ。コメットはんも居てるで」

黒髪に水干姿のその男性は、呼ばれた通り浅葱という。

レイバーの部下、攻撃部隊副隊長だ。

コメットは情報部隊副隊長である。

「こんな夜にですか……?」

「たまにはええやろ?あのコメットはんも承諾してくれたんやで」

『いい気分転換になると思いますよ。今日はお仕事の事は忘れて、楽しんでください』

「で、ですがお仕事がまだ……!」

食い下がる春麗

彼女がどれだけ真面目なのかが良くわかる。

すると真騎がこんな事を言い出した。

 『それでは、これは私からの指令です。今日は仕事の事は忘れてお楽しみください』

「ふえええん意地悪ですよぉ光闇隊長ぉ!!」

「ほな行きましょかー。光闇はんおおきにー」

「ま、待ってください浅葱さぁん!!」 

パタン、と、ドアが閉じる。

そこに残ったのはまさに、嵐が去った後の静寂であった。

「今回ばっかりは浅葱に感謝だな」

「これで少しでも落ち着いてくだされば良いのですが……」

「そもそも浅葱さんが苦情を出したんでしょう?是非彼の手で解決していただきたいものです」

浅葱が春麗にちょっかいを出してコメットに怒られる、と言うのがいつもの決まり。

その分仲はいいため、きっとハッピーエンドを迎えることが出来るだろう。

2人が去った後は簡潔に報告を終え、通信は終了した。

 

 

「だから俺は最初っから反対してたんだ。あんな少数で逃げた上に戦闘、さらにぶっ倒れやがって」

「すみません……」
とある森の奥。
風のように走る黒の忍装束を纏った少年と、彼に背負われた弓道着に緑の袴の青年。
少年は時々後ろを振り向きながら、ぐったりした青年を連れて前へ前へと急ぐ。
微かに聞こえる人の声や金属音。
なるべくそれに見つからないように、かつ早く遠ざかれるように、休むことなく走り続けていた。

「この辺でいいか」
随分走った所で、少年は足を止めた。
止めるとともに青年を背から降ろす。
「いいか、ここでお別れだ。俺も早く戻らなきゃなんねえからな。きついだろうがこっから港まで走れ。まっすぐ行きゃあ着く。敵は居ないだろうが、念のため気配を極限まで隠す術をかける。効果は持って5分だ」
「ありがとうございます、翠閃さん。あなたもどうかお気をつけて」
「てめえよりヤワじゃねえよ。今はてめえの心配しろってんだ」
「あはは……ごもっともですね」
「……死ぬなよ」
それだけ言い残して、少年は道を引き返して行った。

 

 

「着いたー!3の島上陸ー!」

翌日、約束通り舟を出してもらい、無事に到着した4人。

港が閉まっているだけあり、人もほとんど居ない。

「ありがとうございます。とても助かりました」

「いいっていいって!あたしも久しぶりに舟乗りたかったしさー!」

「何故お主らはそんなに元気なのだ……」

「船酔いくらいちょっと休んだら治るさ!あははっ!!」

ぐったりしている白姫。

今まで森で生きてきたため、舟どころか海も初めてである。

乗り物にも慣れていない白姫には酷な旅だったようだ。

「しばらく休憩してから行きましょうか。レストくんも海を見ていたいようですし」 

普段真騎の背中で寝ているレストは、珍しく起きてじっと海を見つめていた。

太陽に照らされてキラキラと光るエメラルドグリーンの海に、これまたキラキラ光る深緑色の目をさらに輝かせて嬉しそうにしている。

「へぇー!可愛いとこあんじゃん」

「では木陰にて休ませてもらう……舟にはもう絶対に乗らぬからな……」

ふらふらと木陰に向かい、一本の木にもたれ掛かろうとしたその時。

低木がガサガサと揺れ動き、奥から1人の青年が倒れ出てきた。

走って来たようで、息を整える間もなく青年は話し出した。

「旅の……方たちですか……?お願いします……!村を……みんなを……夜桜様を!助けてください!!」

「ど、どうなされたんです!?」

「助けてください……!夜桜様が!みんなが!!うぐっ……」

ボロボロの青年は必死に言葉を紡いでいく。

出血、吐血により、白だったであろう服は所々赤に染まっていた。

「横になってください、今治療しますから」

「い……さが……ごほっ!」

「ゆっくり話してください。大丈夫、ちゃんと聞いていますよ」

「はぁ、はぁ……戦がっ……行われているんです……!」

紡ぎ終えた言葉を聞いた時、そこに居合わせた全員に衝撃が走った。

 

 

 

15話 あとがき

やっとこさ完成致しました!

詩貴姐さんの意外な特技でみんなが歓喜する回です。

私も振る舞われたい。

※作中に青年と出てきますが、その年頃の男女を指す語という意味で使っております。

 

今回時間がかかった理由としては、次回でやりたかった構成?があったからなのです。

でも書いていくうちにすっかり変わってしまい、ただ放置してただけになってしまいました☆~(ゝ。∂)

その構成にたどり着くためには今回の15話でどこまで進めればいいのか、そこまで進めて次回は次数ぴったりまで進められるのかなどめちゃくちゃ悩みました(変わりましたが)。

ちなみに毎回4000字くらいです。

 

最後に新キャラがドバっと出ましたので登場人物に増やしておきます。

どこの人なんでしょうね!(すっとぼけ)

はい。

いつぞやに予告ポスター(笑)を描いたのですが、次回まではまだ2の島編です。残念。

なので次回のあとがきにポスターは掲載します!

Twitter(@rarin_itigo)の方では先に上げているので、早く見たいという方はそちらからどうぞ。

10月に上げました(頭抱え)

 

ではでは、次回もごゆるりとお待ちいただければと思います!

閲覧ありがとうございました!