幻石〜5つの石を探す旅〜

素人の一次創作サイトです。

19話 あとがき

年が明けましたね。
昨年はお世話になりました。今年も幻石共々よろしくお願い致します!
新年1発目から物騒な話しで幻石は幕開けです。
水無月はまじごめん。
青梅もかませ犬しててまじごめん。
新キャラが出たので登場人物一覧も更新しました。

 

 

今回は読点に気をつけて書きました。
私の文読んでると1文にひとつの割合で入ってるんですね。
〜て、〜。みたいな感じで。
全部同じに見えそうなので省けるとこは省いています。
読み手からするとあまり変わらない、ましてや文なんて覚えてないかも知れませんが、少し成長出来たんじゃないかなと思います。
あとは台詞と第三者視点の部分の比率をせめて4:6くらいに出来たら理想に近づきます。
喋りすぎか!とも思うけど台詞多くてもいいじゃんという悪いラリンがいたりいなかったり。

 

 

今年は3の島編を終える事が目標です。
戌年のうちに犬(狼)キャラを出したいですし、3の島編が終わると半分終わるんですよ。
多分真ん中らへんまでいけたらいい方なんですが。
ということで、今年も応援よろしくお願い致します!!

幻石〜5つの石を探す旅〜 第19話

爆風の跡に散らばる血痕。
転がる死体や地面に刺さる刀や杖。
戦場、それ以外の言葉では形容し難い空間。
その中央で、またも命を懸けた決闘が行われている。
1人は刀、1人はお札。
互いの眼はバッチリと獲物を捉えていた。

 

 

第19話「深碧のカンフーレディ」

 


ボロボロな青梅に対し、傷一つない水無月
未だに爆風を抜ける突破口は開けていないようだ。
「爆発ばかりじゃ芸が無いんじゃなかったの?」
「量より質を選んだだけだよ。現に僕は無傷なわけだからね」
次こそは、と青梅は水無月にじりじりと近づく。
それを読み取り水無月はじりじりと後ずさる。
そして後ろがつかえた時、一気に走って爆発に巻き込まれる。
その繰り返しだ。
いくら速く走っても、それに合わせて呪文を唱えられてしまう。
そもそも呪文が"爆"の一言なのだから、合わせるまでもない。
「いい加減学んだらどう?おねーさんは僕には勝てない。届かないんだから」
「……」
「言い返せないくらい切羽詰まってる?」
「言い返さないだけだ」
今度は刀を薄く黄色に光らせ、それを自分に向けて突き刺した。
「え?……あは、あははは!!人から殺されるくらいなら自害するってこと?侍魂がすごいねおねーさん!!」

侍とは、忍以外に戦力を有する者の事を指すこの村特有の職業だ。

青梅以外にも青梅が引き連れている者達、桜樹や夜桜等がこれにあたる。

忍と大きく異なる点は武器を主に用いて戦闘する所だ。

「……経験不足が仇になったな」

「は?」
己の手で貫かれた腹部から血は一滴も出ていない。

それどころか、今まで出血していた場所からの血も止まった。
「深光術、原点回帰!」

刀を引き抜いた後に、傷口は無い。
傷という傷全てが塞がって全回復している。
「ひゅ〜!そんなすごい魔法使えるんだね!でも回復しただけで解決した訳じゃないでしょ」
「そう思うか?」
挑発するように刀を構える。
それにまんまと乗っかる水無月は、先に動いて爆発を仕掛けた。
また飛ばされたと思いきや、爆風の中から青梅が飛び出し、水無月の頬を刀が掠めた。
「何!?」
「大して生きてないガキ1人に、遅れをとるわけ無いでしょう」
「ふふっ頬を掠っただけじゃないかっ!」
今度は違ったお札を取り出し、紫色の衣を纏わせ飛ばした。
見切って避ける青梅を他所に、お札はそれより遠くへとたどり着いた。

危機を感じとり青梅がその場から離れようとした時にはもう遅かった。
「吸い込まれ……!?」
「底なしの闇へ封印してあげる!ばいばいおねーさん!!」
と、その瞬間。
水無月と青梅の位置が入れ替わった。
否、素早く水無月の元へ走った青梅が、水無月をお札の方へ突き飛ばしたのだ。

「なんで……!?」
「封印されるのはお前だ。その底なしの闇とやらでぐっすり眠るといい」
「……す……殺す殺す殺す殺す殺す!!絶対殺してやる!!」
「殺すだなんて軽々しく口に出すものじゃないよ」
そのまま吸い込まれ、後にはお札だけが残っていた。
お札の紋様が変わり封印された証が印されている。
「ごめんねみんな……後のことは任せて」
そう言って踵を返すと、見知らぬ人物がそこに立っていた。

色白の肌によく映える深緑の髪を2つのお団子にして纏め、白いチャイナ服を着ている。

耳や髪の色を見る限りシルフの少女だ。
「遅かったネ……水無月消滅、確認したアル」
「また敵……!」
水無月の敵、とらせて貰うヨ」
「自分の罠にハマったのに!?」
「問答無用!」
スリットから見える綺麗な足で飛び蹴りを仕掛ける。
すぐに見切って避けた青梅が、今度は少女に刀を向けた。
「反射神経バツグンネ」
「君こそ」
それもまた避けられ、2人の間には5m程の距離が開いた。
「それで、子供がまた何しにここへ?」
「失礼ネ!私大人のレディヨ!」
「えー本当に?嘘は良くないよ、お嬢ーちゃん」
水無月の相手をしていた時とはすっかり違った対応。
余裕の現れか、はたまた緊張が解けたのか。

いずれにせよリラックスしているのには変わりない。
「もう怒ったアル!覚悟するヨロシ!!」
「ひえぇ~煽っちゃったかなあ。みんなは蒼泉様の方へ!」
「よそ見する暇ないヨ!」
5mを一瞬で詰め寄り、青梅に回し蹴りを喰らわせた。
直撃した青梅は長い距離を飛び続けた後、木にぶつかって勢いを殺した。

「うぐっ!ってて……さっき回復したばっかりなんだけどな……」
「私を舐めるからネ」
「うん、そうだね。本気でいかなきゃ君は倒せそうにない」
幾本か折れているであろう骨の痛みに耐えながら、刀を使って立ち上がる。

先ほどまでとは雰囲気が変わったのを見て取れた。
「第2戦目、開始」

 


「まだつかない?」
「まだ見えない?」

「初めて外に出たからわかんないな緋鞠(ひまり)!」
「村の隅ですら見たことないもんね緋織(ひおり)!」
未だ森を駆け抜けている緋色の双子。
兄の緋織に、妹の緋鞠。
生まれてからずっと村の中で過ごしていた2人にとっては土地勘というものが全く無かった。
頼りはただ1つ。
「「こっちだ!」」
第6感、勘だ。
故郷が存在するであろう方へひたすらに進んでいく。
自分が今どこにいるかなど気にもせず、意見がシンクロした方へと向かう。
「おい緋鞠!」
「なに緋織?」
「あれじゃないか?」
「きっとそうだよ!」

翠閃からの助けがない今確認する術は残されていない。
しかし勘は時に武器と化す。
2人の目に映ったもの、それは毎日嫌でも目に入る村の風景そのものであった。
「「とうちゃーく!」」
「やっと帰って来られたな!」
「次は青梅姉探さなきゃね!」
庭も同然の場所だ。
彼らに死角など存在しない。
故に人探しなど朝飯前だ。
「「あっちだー!」」
2人は迷うことなく目的地へと向かった。

 


「ちょこまかと……!」
「攻撃避ける、これ常識ヨ」
刀と体術。
武器を持つ青梅の方が圧倒的に有利だが、当たらなければ意味がない。
先程から仕掛けている攻撃は全て避けられていた。
高い回避能力に加えこの身長だ。
当たる確率はかなり低い。
「そんなへなちょこ攻撃怖くないネ!次はこっちから行くアル!」
「わざわざ宣言するだなんて……余裕かましちゃっていいの?」
「モチロン。今の攻防は準備するための時間。お前との戦闘、ここで終わりアル」
攻撃の構えを崩した少女は、地面に手のひらを叩きつけた。
「っ!?動けな……っ!?」
地面が蜘蛛の巣状に光ったあと、それらは捕獲網のように浮き上がり青梅を捕らえた。
さしずめ罠を踏んだ獣と言ったところだろうか。
粘着性の高い網で、もがけばもがくほど身体は縛られていく。
「だからここで終わり言ったネ。決着ヨ!」
「「深火術、活火激発!!」」
どこからか火の玉が飛んできて、青梅を縛っていた網は一瞬にして燃え尽きた。
周りの木々や青梅自身には全く燃え移ってはいない。
「緋織に緋鞠まで!?何してる!?ここは2人が来るような所じゃない!今すぐ帰れ!!」
「「やだね!!」」
「いつも後ろで見てるだけ!」
「そんなのもうお断りだよ!」
「わがまま言ってる場合か!戦だぞ、遊びじゃないんだよ!!」
木の上から地面へと着地し、青梅の目の前で構えを取った。
少女と対峙するその眼差しはとても真剣だ。
「我が名は緋織!」
「我が名は緋鞠!」
「「一心同体以心伝心!天下無敵の炎の申し子、ここに見参!」」
「絶対今決まったって顔してるでしょ!?別に決まってないからね!!」
「口上か?面白いネ。我が名は深緑(しぇんりゅ)!深碧のカンフーレディとは私の事ネ!」
「乗っちゃってるよ!!」
「「「じー」」」
「やらないからね!?」
敵同士とは思えない程息ぴったりのやり取り。

実は敵に騙されているのではと疑心暗鬼になりながらも的確にツッコミを入れた。
深緑はともかく、緋織と緋鞠は登場する度にこのやり取りをしていたので、もう何十とツッコミを入れてきたわけだが。
「ノリ悪いのー!」
「つまんなーい!」
「あんたもやるアル!せめて名前教えるヨロシ!」
「国守 青梅……って、私達敵同士なの知ってる?」
知ってる知ってる!と軽く返事をしながらその質問は流された。
すると青梅の背後から何かが飛んでくるのを感じ、すぐに伏せるよう2人に命じた。
どこにも当たらず飛んでいったそれは、しばらくして遠くの地面に落ち爆発した。
「これ知ってて注意を逸らす為にノッた、なんてことないよね?」
「私そんな卑怯しないネ!」
飛んできた方向へ振り返ると、紫色の禍々しいオーラを放ちながら地面に這いつくばる人影が見えた。
ゆっくりと立ち上がる影は紅に輝く両眼をこちらに向けている。
「殺す……殺す!殺す殺す殺す殺す殺してやる!!天才術師の僕が負けるわけないんだ!!」
「封印が解けたのか!?」
「自分の封印を破れないわけないだろ?……あはは!お前は後でだ!そこの緋色の餓鬼共を先に葬ってやる!!」
「「そっちのが餓鬼でしょ!!」」
起爆札の出処は自分の封印に捕まった水無月
結界を破壊して戻ってきたようだ。
プライドをズタボロにされたことにより、本来持っていた闇にさらに磨きがかかっている。

「厳しくなったら逃げるんだぞ!いいな2人共!」
「「青梅姉も頑張って!」」
この後待ち受けている苦難も知らず、笑顔で手を振りながらその場を後にした。
先程までいた生存者は青梅の命令で1人残らず蒼泉の元へ向かって行っていたため、この場に残ったのはまた青梅と深緑だけだ。
「いいのか?あいつら2人、水無月には敵わないネ。見殺しにするつもり?」
「あいつらには時間稼ぎをしてもらうだけだ。すぐ終わらせてやるから安心してよ」
「再度舐めてるか!?」
「いいや、本気だよ」
深緑の真正面に綺麗に構えをとる。
それはもう稽古のようにリラックスしながら。
「疑わしいアル。だったら何!?その構え!!」
言いながら深緑は青梅に一気に詰め寄り拳を入れる。
それをぎりぎりでかわし横腹に刀を入れた。
ただ、致命傷には至らない。
「峰打ち……?本気、嘘!!」
「……」
「言い返せないか?それお遊び言うヨ!」
鳩尾めがけ蹴りを一発。
しかしそれは普通の蹴りとは違い、蹴りの痛みと共に微かにピリッと全身を走るのを感じた。
「ぅぐっ……何を……」
「わかったか?感じいいアルな。食らったが最後麻痺するネ。当分動けないヨ」
「……なーんてね!!」

「なっ……力が出な……!?」

深緑が気づいた時にはもう遅かった。

青梅の刀の頭、柄の先端が深緑の心臓部分に当たった。

「深光術、光彩奪目(こうさいだつもく)」

刀は金色に輝き、青梅へと注がれていった。

 

18話 あとがき

1、2、3話に次ぐ更新の早さですね。

あの頃何があってこんなに早く書き終えてたんだ?

前回のあとがきで戦闘シーンくるよ!って言ったのに来ませんでしたね。おかしいなあ(目逸らし)

今回も新キャラが登場しましたので、一覧記事更新しておきました。

 

 

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今回登場した水無月くん。

最初は10歳のショタといううちの子によくいるパターンのかわいい子でした。

良い意味で素直、純粋、そんな子。

どうしてこうなった。

きっと父様にいろいろ言われてねじ曲がってしまったんでしょう。

そのおかげか強い。

村の一番偉い人の側近である青梅をも凌ぐ見せ場が出来てしまった。闇が深い…

敵になってしまった以上仕方ないですね!

幻石〜5つの石を探す旅〜 第18話

「貴様、餓鬼のくせにこんなところで何をしている?さっさと帰ってママと一緒に昼寝でもしてな!」
「負け犬の遠吠えだね。既にボロボロじゃないか。出直してくればー?そうしたところで僕には勝てないけど」

桜樹を逃がした後、数人で数十の相手をし続けていた。
だいぶ数は減っているが、敵部隊の中心である少年には未だに傷を負わせられていない。
こちらは刀なのに対し、相手は遠距離からお札を使い爆発を仕掛けてくる為に近づけないのだ。
そして今青梅がいるのは、薄い青緑の髪色をしたその少年の近く。
少年という形容が相応しい程幼く、戦場には似つかわしい風貌をしている。
その反面ませているようで、口が達者だ。
「お喋りが過ぎるぞクソガキィ!!」

勢いのまま少年へ突っ込む。
「ちょっと!危ないじゃないか!それに僕は餓鬼でもクソガキでもないよ。水無月ってちゃんと名前があるんだから!」
水無月……!?」

 

 

第18話「暗闇」

 

 

「お前暦(こよみ)の連中か!!」
「なんだ知ってたの?そりゃあそうだよね!あんたらが僕らを追い出したんだから!」
「あれは自業自得だろ!……まさかお前らが戦をけしかけたんじゃないだろうな!!」
「心外だなあ。もちろん恨みはあるけど、僕ら次世代にはあんまり関係ないからね。上の人なら何か知ってるかもしれないけど」
暦とは、呪術を扱う一族のこと。
その昔善からぬ呪術を振りまき、ひと騒動起こしたために村から追い出されたのだ。
もちろん村の記憶を全て消されて。
また、一族の中でも特別強い者には、12月の名をどれか1つ貰える。
つまり水無月、6月の名を持った少年は普通の少年ではない。
「そうだ、君はあいつらの仲間でしょ?僕が殺れば父様に褒めてもらえるかも!僕の為に殺られてね」
汚れのない純粋な笑顔は、彼の歪んだ性格を表しているようだ。
「戯言を!」
青梅は1本の刀を構え、水無月の方へ走る。
対する水無月はお札を構え、何かを唱え始めた。
「それはどっちの台詞かなあ!」
お札を空へ投げた時にはもう、呪術が発動していた。
青梅の体が、まるで時が止まったかのように静止する。

と同時に、固く握りしめていた刀が音を立てて地面に落ちた。
「動けない……っ!」
「爆発ばかりじゃ芸がないからね」
呪術とは、一般的に呪いと呼ばれる類いの物がほとんどだ。
利益があるものはおまじないと呼ばれるが、呪術は闇魔法の一種であるため扱うことは難しい。

お札という魔法道具を使い、発動する。
「おにーさんの闇を一緒に覗き見ようじゃないか。いや、おねーさんかな」
「やめ、ろ……!」
「やーだねっと」
先程とは別のお札を取り出し、動けない青梅の額へ貼り付けた。

そしてまた呪文を唱える。
「奥底に眠る黒き獣よ、我が元へ集い給え!」
「何をし……うわああああ!!!!」
青梅を黒いオーラが纏い、その場に膝をついた。
先にかけた金縛りは解けているが、体を動かすことは困難だ。
「おねーさんの闇は楽しませてくれるかな」

 


森の中を駆け抜ける保護色の少年が1人。
その姿はまるで風のようだ。
「あ!翠閃!おつかれー」
「はぁ、はぁ、おつかれーじゃねえんだよ……」
「珍しいわね、あんたの息切れ」
「うるせえ、っここまで、はぁ、飛ばしてきたんだ……早くしろ」
はいはい、と言いながら、金髪の少女は手を光らせる。
「深光術、光芒一閃(こうぼういっせん)」
その手を翠閃の背中に当て、翠閃もまたそれを受け入れた。
回復術だ。
「ずいぶんと消耗してるわね」
「全員と連絡取ったんだぞ……お前一気に全員回復してみろ」
「何?殺す気?」
「そういうこった」
木陰に隠れながら翠閃の回復を続ける。
戦闘した訳では無いため、大きな傷はない。
しかしそれ以上に気力と体力が消耗されており、回復するには時間がかかりそうだ。
「青梅さん達はどう?傷が多いならあたしが行ったほうがいいわよね」
「いや、お前はここにいた方がいい」
「は?怪我してないってこと?」
「武器的に不利ってだけで、あいつらにとっちゃあ大した相手じゃない」
「ふーん。ずいぶん青梅さん達を過大評価するのね」

「餓鬼1人如きに戦力は割けねえって言ってんだよ」

「素直じゃないの」

他愛ない、戦時ならではのやり取りを繰り返す。
しかし青梅と水無月の戦力差はその通りである。
歳の差もあるが、水無月の性格がそうさせているのだ。
「殺るのは時間の問題……おい、あいつら向こうに送り込んだのか?」
「ん?あの2人?知らないわよ。姉様に聞いてよね」
少しずつ回復してきた翠閃が何かを感知したようだ。
以前ベネジクトが使っていた、一定の範囲に居る者をサーチする草魔法とよく似たもの。
修行を積んだ翠閃は、知っている者なら術を発動せずとも感じる事ができる。
一定の魔力を常に張り巡らせているからだ。
「通信するからちょっと黙ってろよ」
「ちょっとまた術使う気!?回復する身にもなってよね!!」
「黙ってろって言ったろ」
少女の反論も虚しく、翠閃は指を組む。
「深草術、一木一草(いちぼくいっそう)」
百花繚乱とは違い、個人に向けて意識を飛ばす。
通信の先は――
『どうした』
「あいつらをお前が向かわせたのかと思ってな。何か指示したか?蒼泉」
少女が姉様と呼ぶのは、戦場の指揮を執っている蒼泉。
しかし実の姉妹ではなく、従姉妹にあたる。
『私は何も言っていないが、まさか向かったのか?あいつらではとても敵わんだろう。呼び戻せ!』
「言われなくてもそうしたいんだが、生憎回復中でな。行けそうもない。通信した所で止められないだろうからな」
『いつ終わる?』
「まだかかるわ。だって物凄く消耗してるんだもの」
「だそうだ」
直接触れている少女にも術の効果が得られるようで、何のためらいもなく会話に入り込んでくる。
翠閃が優秀だからかもしれないが。
『澄桃(すもも)か。お前ならその程度すぐに回復できるはずだが?』
「無茶言わないでよ!あたしだって疲れて」

『できるな?』

「はいはい分かりましたよ!やりますう!!」

 澄桃と呼ばれた少女は、手に最大限の力を込める。

それに比例するように、黄色い光も大きくなっていった。

『呼び戻せなかった場合はお前がサポートに回れ』

「はぁ!?何で俺が!」

『つべこべ言うな。それと澄桃は終わったら私の所へ来い』

「おっけー……!」

翠閃の返事も待たず、蒼泉の方から連絡を切る。
他の忍にはできないやり方だ。
「くそ、あいつら後で絞めてやる」
「ほどほどにしてあげなよね」
「おい、次はあいつらに連絡取るぞ」
「はぁーー!?もう勘弁してよーー!!」

 

 

暗い空間。
感覚の全てが奪われ、ただ頭の中をぐるぐるとさ迷うのみ。
「こ、こは……」
「君の闇の中だよ。想像してたよりずっと深そうだね。巡るのが楽しみだ!ああ、今の君には声も届かないんだったね」

ふふっ、と笑みを零す。
対する青梅は、なんの反応も示さない。
「あ!あっちに何かあるみたいだ!」
「……」
「つまんないの。仕方ない、五感を返そう」
水無月が指をパチンと鳴らすと、まるで眠りから覚めたように意識を取り戻した。
「っ!貴様何をした!?」
「さっき説明したから割愛。それよりあっちに行こ!」
「あっち?……あれは!?」
「なになにー?見られたくないやつ?だったら見るしかないよね!」
「待て!それはっ……ぅぐっ」
青梅の反抗も虚しく、水無月はそれに向かって突っ走って行った。
そして円形に浮かぶ青梅の記憶に手を伸ばし、指先から伝わせて覗き見る。
「随分と昔の記憶みたいだね。僕が産まれてないくらいかな」
真っ暗だった空間が、一瞬でその世界へと染まった。
静かで平和な時期の村だ。
スポットライトが当たっているのは、木刀を構えた少年と少女。
少年は少女へと向かうと、木刀を思いっきり振り下ろした。
しかし少女は対抗するでもなく、逃げるように木刀を避けた。
『避けたら意味無いだろ!受け止めろ!』
『わ、分かってるよぉ』
「首の桃模様を見る限りだと、この女の子はおねーさん?まるで別人だね」
「貴様に話す義理はない」
「ははっ、ごもっとも」
しばらく決闘を見ていると、避けきれなくなった少女の額に木刀が直撃した。
『はぁ、今日は終わりだ』
『待って!もう少しだけお願いします!』
『やったって変わんねえよ。見切りだけは上手いから褒めてやろうと思ったのに、最後で台無しじゃねえか』
『だって……』
『だってもくそもねえ!』
『あ、兄上が何も教えてくれないからでしょ!感覚だけじゃわかんないよ!!』
『ああそうかよ!なら父上にでも習ってろ!』
半べその少女を見捨て、少年はその場を去った。

残された少女はただそれを見つめ、ぼーっと立っておく他無かった。
『強く、ならなきゃいけないのに……』
大粒の涙を流し始めたところで、辺りがまた真っ暗になった。
記憶の再生が終わったのだ。
「終わっちゃった!これ本当に闇なの?」
「もう用は済んだだろ。早くここから出せ!」
そう言って水無月に切りかかる。
避ける動作ができず……否、避ける動作をしなかった。
「おっと!ここじゃあ攻撃は当たらないんだ。すり抜けちゃうからね」
何を言うでもなく、ただ鞘に刀を仕舞う。
顔だけはじっと水無月を見つめたまま逸らさない。
「そんな怖い顔しないでよ。そろそろ時間だし、時期に出られる」
どこかから光が漏れだし、その光に目が慣れる頃には元の場所へと戻っていた。
どうやらこの呪いには時間制限があるようだ。
「……戻ってきたのか?」
「嘘はつかない主義なんだ。さてと、もうお遊びは終わりだよ。早く長月姉様の所へ行きたいからね」

 

 

少し離れた森の中。
飛ばして走る2つの影があった。
真っ赤なその見た目は、緑の背景にくっきりと映る。
2人の顔はまるで分身したようにそっくりだ。
眉や口元、髪型や身長までほとんど同じ。
唯一違うのは目元と性別くらいだろう。
「もうすぐかな?」
「あと少しだろ!」
駆けている途中、ふと頭に声が響く。
翠閃だ。
『てめえら何勝手に行動してやがる!』
「「翠兄が行けって言ったじゃん!」」
『言ってねえよ殺すぞ!!』
「ご勘弁!」
「やだね!」
べーっと、見えない相手に舌を出す。

『てめえら帰ったら覚悟しとけよ』
「「ひゃいい!!」」
ドスのきいた声で脅しをかけると、流石に効いたようで全身を震わせた。
しかし駆ける足は止まらない。
『どうせ言ったって引き返さねえんだろ。俺も後から向かう。……無茶すんなよ』
そこで声がブチっと途切れた。
彼なりの優しさだ。
「こうなったら!」
「やるしかない!」
2つの赤い影は、目的地へと進んでいった。

術について

3の島のどこかに存在している村には、修行を積んだ忍という者が居る。

修行する事で己の魔力を高め、魔法道具無しで扱う魔法をここでは術と呼ぶ。

魔法と同じ5つの属性があり、発動する時は火魔法や草魔法ではなく

火→深火術(しんかじゅつ)

草→深草術(しんそうじゅつ)

水→深水術(しんすいじゅつ)

光→深光術(しんこうじゅつ)

闇→深闇術(しんあんじゅつ)

という単語を頭に付ける。

魔法道具(主に武器)を用いて魔法を発動させている者もいるが、この村では魔法という概念が無いため全て術と呼ぶ。

 

 

魔法と同じ点は、スペルストーン(ここでは輝石(きせき)と呼ぶ)を所持していなければ使えない所。

魔法使いはアクセサリーにして持ち歩くが、忍は属性モチーフの形にして額当てに埋め込んでいる。

また術は魔法に比べてレパートリーが少ない為か、ナンバリングではなく直接名前を付けて管理している。

特別に規則は無いが、ほとんどの者が造語を含めた四字熟語をそのまま名前にしている。

 

 

術も属性によって得意な効果が異なる。

魔法と同じなので、詳しくは魔法記事参照。

 

 

 

妖精について

魔法の記事でも紹介した通り、属性毎に妖精が存在する。

火、サラマンダー

草、シルフ

水、ウンディーネ

光、ピクシー

闇、インプ

火草水の妖精は至って普通に暮らしているが、ピクシーとインプは伝説とされ未だ見た者はいない。

人には見えないからだとか、絶滅しているからだとか、諸説あるが真偽は不明。

純血の妖精は例外なく対応した属性しか使うことができない。

詳しくは魔法記事参照。

 

妖精は人間に比べて背が低く、羽があるのが特徴である。

一番早く飛べるのがシルフ、他は同じくらい。

羽の形は人それぞれ。

耳の形状は種族によって異なる。

下記の図参照。

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なおピクシーとインプは想像上の生物に等しいので、こちらも真偽は不明。

また、サラマンダーは褐色肌、シルフは色白肌が多い。

髪や目の色はだいたい属性に対応した色となる。

ただし異属性の混血の場合は除く。

 

 

 

 

 

17話 あとがき

前回に勝るとも劣らない怒涛の展開!

皆様ご理解頂けたでしょうか?

ずーーっと書きたかった3の島編、楽しませて貰います!

戦ということで、ファンタジーには付き物な戦闘シーンが!ようやく!ようやく!!出てきます!!!

わかりやすい構成になるよう精進して参りますのでどうかお付き合いくださいませ。

新しいキャラも登場しましたので、例の記事も更新しておきます。

 

さて、数年悩みに悩んだ国府宮の性別が決まりました。

妹の桜樹と、兄の夜桜。

元々のキャラ設定を掘り返すと実は性別が逆なのです。

そもそも姉弟ですら無かったわけですけど。

そして次回また新しい人物が登場しますが、一旦収まると思います。

なんせ仲間はもちろん敵もいますからね。

がんばって覚えてねとしか言えません…

そう言えば術についての記事も作らないとですね!妖精もあったね!

することが山積みだぜ!

次回もよろしくな!