幻石〜5つの石を探す旅〜

素人の一次創作、幻石のサイトです。

16話 あとがき

詰め詰めの回でしたが、皆様ご理解頂けたでしょうか?

アレス城と通信を取っている所でなんと新キャラが3人も出てきましたが、覚えなくても大丈夫です。

浅葱は番外編でチラッと出てきてますが。

という訳で、登場人物一覧に追加しておきます。

 

それではお次に、こちらのイラストをご覧ください。

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とうとう使う日がやって参りました!

次回より3の島編に突入致します!

こちら去年の10月半ばに描いてるんですけど、このペースで行くと一年経ちそうですね。

不思議だなー!

終了する頃にはこの絵の意味が分かる…かもしれません。

ゆっくりですがまだまだお付き合いくださいませ!

それではまた次回でお会いしましょう。

幻石〜5つの石を探す旅〜 第16話

「なんで探すのに30分もかかるの!!すぐそこじゃん!!」

見事にフラグを回収し、船の持ち主を探すのに3倍の時間を費やした4人。

歩いて10分もかからない目的地を目指して、周りをぐるぐるとしていたのだ。

「お主が途中から反対方向を目指したからであろう。地図も読めぬのか」

「あんただって反対しなかったじゃん!うちのせいじゃない!」

「問い正したのに地図も見せず先に進んだ貴様に責任があると思うがな!」

 「いいじゃないですか、見つかったんですから。終わりよければ全てよしですよ」

はいと言わせんばかりの笑みで二人を宥める真騎。

聖母とまで謳われた笑みである。

「お主の笑顔、時々恐怖を感じるのだが……気のせいかのう」

「うちも同意見」

「ふふ、私はただ笑っているだけですよ。早く行きましょうね」

 

 

第16話「悪いお知らせ」

 

 

見事舟を出してもらえる事になった白姫一行。

簡単に事情を説明し、急いで準備を進めていた。

と言いたいのだが……。

「ごめんなあ。もうすぐ日が暮れるから出せないんだよ、舟」

「はあああ!?なんでよ!夜でも舟くらい出せるでしょ!」

「あたしの舟にゃライトが無いのよ。夜には出さないかんね!ははは!でも乗り心地は保証するからさ、また明日訪ねてくんね?」

半ば強引に追い出され、手持ちぶたさになってしまった4人。

今夜は野宿するしか無さそうだ。

「えーまた野宿ー!?泊めてくれたっていいのにー!!」

「甘えっぱなしになるわけにもいきませんし、今日は一旦引きましょう」

 『だったら戻ろうぜー。2の島先端《ツーポイント》によぉ』

一瞬の静寂の後、ベネジクトが口を開いた。

「え!?あんた喋れんの!?」

『おう?ったりめーよ』

石の状態でも会話は出来るらしく、乙人が話しかけてきたのだ。

「先に言ってよね!無駄に歩いたじゃん!!」

『運動しないとデブっちまうだろうっていう俺様の心優しい配慮だろ』

「は?」

『大変お美しいお身体でございますね』

「いい加減にしないと叩き割るぞ」

『褒めたのに!褒めたのに!!』

石状態の乙人の声はエコーがかかったように聞こえ、終いには石そのものが浮いて動いている。

傍から見ると奇妙な光景だ。

幸い周りには4人以外誰もいないが、人気のある場所でうっかり話してしまった時には白い目で見られるだろう。

それどころか動いて話している石を見られたら通報されるかもしれない。

もちろんアレス城にである。

「いいから早く移動させんか」

『俺は都合の良い道具じゃねえんだぞ!幻石様だぞ!!』

『ごちゃごちゃ言ってないで早くワープしな』

『姐さんまで……うぅ!わーったよ!ワープすりゃいいんだろー!!』

白い光が皆を包み、光が消えた時には誰の姿も見当たらなかった。

 

 

「なんでこんなにこき使われてんの……」

「ヒーローなんだろ?人の助けをするのがそれじゃないか」

「ハハハ!俺様になんでも頼りな!」

ワープしたあとまた詩貴に連れ回され、夕食の材料集めをしていたのだ。

今は夕食も取り終え、夜に向けて備えをしているところである。

「あんた役に立つわー魔法使わなくていいし」

「ヒーローだからな!ハハハ!!」

すっかり調子に乗っている乙人。

空っぽな乙人の脳では、いいように使われているという発想がないようだ。

「馬鹿も使いようね」

「扱いやすくて助かるのう」

「あんたもあのくらい素直になればいいのに」

「それはこちらの台詞だ」

「はいはい、言い合いはそこまでです」

「あはは!愉快愉快。あんた達といると本当に飽きないねえ!」

複数人の声が交わるその空間は、今日も平和だ。

「そろそろ城との連絡を取る時間なので、席を外します。私がいない間に喧嘩しないでくださいね」

 そう言うと真騎は、森の方へと姿を消した。

「毎晩連絡取ってるけど、うちらも聞かせてくれたっていいじゃんね?」

「聞いてはならぬ事もあるのだろう。それくらい自分の頭で考えぬか」

「はあ?何?喧嘩売ってんの?」

「真実を話したまでだ」

「上等じゃん!その長い髪燃やしてやるんだから!!」

「あの坊やも大変だねえ。こればっかりは同情してやらないといけないねえ」

 

 

「ふえええん光闇隊長おおおおおお!!私じゃ無理ですぅ早く帰ってきてくださぁい!!」

『お、落ち着いてください春麗(ちゅんりー)さん……!』

いつものアレス城通信室。

今夜は少し違う面子も揃っているようだ。

「だってぇ皆さん優秀でぇ!私だけお仕事終わるの遅くてぇ!!」

『大丈夫ですから……帰ったら私がやりますし、ね?』

「それでは私が副隊長を任されている意味がまるで無いじゃないですかぁ!!」

薄紫の髪に濃い紫のチャイナ服を纏った彼女、春麗は、アレス城回復部隊副隊長。

真騎が出ている今は、実質隊長という訳だ。

「ずーっとこれなんだけどどうにかなんねえ?なあ真騎?」

『こればっかりは自分のペースで頑張ってくださいとしか……』

流石のレイバーも困っているらしい。

彼の部下からも、春麗をどうにかして欲しいとの報告が上がっているのだ。

「何か助言を貰えたらと思って春麗を連れてきたのですが……」

「効果は得られなかったようですね」

 『申し訳ないです……』

とその時。

ガチャりと扉が開き、誰かが中へ入ってきた。

「通信中失礼致しますー。春麗はん来てます?」

「あ、浅葱さん……私なんかに何か御用でしょうか?」

「ちょいと遊びに付きおうてもろう思ったんですわぁ。コメットはんも居てるで」

黒髪に水干姿のその男性は、呼ばれた通り浅葱という。

レイバーの部下、攻撃部隊副隊長だ。

コメットは情報部隊副隊長である。

「こんな夜にですか……?」

「たまにはええやろ?あのコメットはんも承諾してくれたんやで」

『いい気分転換になると思いますよ。今日はお仕事の事は忘れて、楽しんでください』

「で、ですがお仕事がまだ……!」

食い下がる春麗

彼女がどれだけ真面目なのかが良くわかる。

すると真騎がこんな事を言い出した。

 『それでは、これは私からの指令です。今日は仕事の事は忘れてお楽しみください』

「ふえええん意地悪ですよぉ光闇隊長ぉ!!」

「ほな行きましょかー。光闇はんおおきにー」

「ま、待ってください浅葱さぁん!!」 

パタン、と、ドアが閉じる。

そこに残ったのはまさに、嵐が去った後の静寂であった。

「今回ばっかりは浅葱に感謝だな」

「これで少しでも落ち着いてくだされば良いのですが……」

「そもそも浅葱さんが苦情を出したんでしょう?是非彼の手で解決していただきたいものです」

浅葱が春麗にちょっかいを出してコメットに怒られる、と言うのがいつもの決まり。

その分仲はいいため、きっとハッピーエンドを迎えることが出来るだろう。

2人が去った後は簡潔に報告を終え、通信は終了した。

 

 

「だから俺は最初っから反対してたんだ。あんな少数で逃げた上に戦闘、さらにぶっ倒れやがって」

「すみません……」
とある森の奥。
風のように走る黒の忍装束を纏った少年と、彼に背負われた弓道着に緑の袴の青年。
少年は時々後ろを振り向きながら、ぐったりした青年を連れて前へ前へと急ぐ。
微かに聞こえる人の声や金属音。
なるべくそれに見つからないように、かつ早く遠ざかれるように、休むことなく走り続けていた。

「この辺でいいか」
随分走った所で、少年は足を止めた。
止めるとともに青年を背から降ろす。
「いいか、ここでお別れだ。俺も早く戻らなきゃなんねえからな。きついだろうがこっから港まで走れ。まっすぐ行きゃあ着く。敵は居ないだろうが、念のため気配を極限まで隠す術をかける。効果は持って5分だ」
「ありがとうございます、翠閃さん。あなたもどうかお気をつけて」
「てめえよりヤワじゃねえよ。今はてめえの心配しろってんだ」
「あはは……ごもっともですね」
「……死ぬなよ」
それだけ言い残して、少年は道を引き返して行った。

 

 

「着いたー!3の島上陸ー!」

翌日、約束通り舟を出してもらい、無事に到着した4人。

港が閉まっているだけあり、人もほとんど居ない。

「ありがとうございます。とても助かりました」

「いいっていいって!あたしも久しぶりに舟乗りたかったしさー!」

「何故お主らはそんなに元気なのだ……」

「船酔いくらいちょっと休んだら治るさ!あははっ!!」

ぐったりしている白姫。

今まで森で生きてきたため、舟どころか海も初めてである。

乗り物にも慣れていない白姫には酷な旅だったようだ。

「しばらく休憩してから行きましょうか。レストくんも海を見ていたいようですし」 

普段真騎の背中で寝ているレストは、珍しく起きてじっと海を見つめていた。

太陽に照らされてキラキラと光るエメラルドグリーンの海に、これまたキラキラ光る深緑色の目をさらに輝かせて嬉しそうにしている。

「へぇー!可愛いとこあんじゃん」

「では木陰にて休ませてもらう……舟にはもう絶対に乗らぬからな……」

ふらふらと木陰に向かい、一本の木にもたれ掛かろうとしたその時。

低木がガサガサと揺れ動き、奥から1人の青年が倒れ出てきた。

走って来たようで、息を整える間もなく青年は話し出した。

「旅の……方たちですか……?お願いします……!村を……みんなを……夜桜様を!助けてください!!」

「ど、どうなされたんです!?」

「助けてください……!夜桜様が!みんなが!!うぐっ……」

ボロボロの青年は必死に言葉を紡いでいく。

出血、吐血により、白だったであろう服は所々赤に染まっていた。

「横になってください、今治療しますから」

「い……さが……ごほっ!」

「ゆっくり話してください。大丈夫、ちゃんと聞いていますよ」

「はぁ、はぁ……戦がっ……行われているんです……!」

紡ぎ終えた言葉を聞いた時、そこに居合わせた全員に衝撃が走った。

 

 

 

15話 あとがき

やっとこさ完成致しました!

詩貴姐さんの意外な特技でみんなが歓喜する回です。

私も振る舞われたい。

※作中に青年と出てきますが、その年頃の男女を指す語という意味で使っております。

 

今回時間がかかった理由としては、次回でやりたかった構成?があったからなのです。

でも書いていくうちにすっかり変わってしまい、ただ放置してただけになってしまいました☆~(ゝ。∂)

その構成にたどり着くためには今回の15話でどこまで進めればいいのか、そこまで進めて次回は次数ぴったりまで進められるのかなどめちゃくちゃ悩みました(変わりましたが)。

ちなみに毎回4000字くらいです。

 

最後に新キャラがドバっと出ましたので登場人物に増やしておきます。

どこの人なんでしょうね!(すっとぼけ)

はい。

いつぞやに予告ポスター(笑)を描いたのですが、次回まではまだ2の島編です。残念。

なので次回のあとがきにポスターは掲載します!

Twitter(@rarin_itigo)の方では先に上げているので、早く見たいという方はそちらからどうぞ。

10月に上げました(頭抱え)

 

ではでは、次回もごゆるりとお待ちいただければと思います!

閲覧ありがとうございました!

 

幻石〜5つの石を探す旅〜 第15話

「王女様がねえ。やーっと探し当てたのな、俺らの存在」

あれから数十分。

なんとか説明して理解して貰う事が出来た。

最後は詩貴が何か言っていたようだが……。

「やっと、とは?」

「んん?そろそろバレても良いんじゃねえかなって思っただけだ。幻石の在り処もな」

長年に渡り伝説としてしか語り継がれなかった幻石。

それがつい最近シャンによって確定された。

幻石は存在して、さらには守り人までいること。

守り人が幻石その物であることは特定できなかったが、それだけでも凄いことだ。

「王女様は本で見てたって、真騎言ってたよね?」

「はい。珍しく図書室に篭っていましたね」

「じゃあその本書いたの、誰?」

 

 

第15話「幻石流昼ごはん」

 

 

 「それなら、2人程心当たりがあるねえ。あたしらの事を知っていて、かつ文才のある者」

「あなた方を知っている者が、白道さん以外にもいらっしゃるのですか?」

「ああ、居るさ」

詩貴は近くの岩に腰掛け、扇子を取り出しながら続けた。

「1人は知識の幻石。もう1人は……あんたの母親さ。あんただよ、白姫」

「母上が……?」

「お前んちにも何冊か有るんじゃねえのか?暇があれば書いてたし」

「妄想を綴ったような書物ばかりだったがな」

白道の妻であり白姫の母親である咲姫(さき)は、異世界から来た人間である。

まだそれ程人間が繁栄していなかった頃。

妖力の強かった咲姫はここへと迷い込んだ。

その後白道と恋に落ち、白姫を授かり、一生を終えている。

 「しかしそれならば、何故城にあるのでしょう?」

「誰かが盗んだんじゃないの?」 

「それは有り得ぬ。あの辺に人など来んからな」

深い森の中に佇む家。

1人で住むにはあまりにも広いそこは、ただただ違和感を放っているばかりだ。

たまに小さな魔物が覗きに来るくらいで、人はおろか妖怪すら見当たらない。

時には家ごと見えなくしてしまったこともあるという。

 「書いたやつが誰だろうが、それを信じた王女様は素直だな。この世の中嘘だらけだってのによお」

 「シャン様は鋭いお方ですから、何か感じ取ったのかもしれませんね」

あれでもこの世の王女。

英才教育を受けて育ち……と言いたいところだが、王の方針によりのびのびと育っている。

そのせいかおかげか、知識は少ないが、王女にふさわしい成長を遂げた。

 「その書物はともかく、はよう次に向かわねばならぬのではないのか」

「そうですね。知識の幻石に会えば真相もわかるでしょうし。行きましょう、3の島へ」

「その前にご飯食べようよー!歩きっぱなしで疲れたー!!」

「あっはっは!今日も元気だねえ。あたしがご飯作ったげるよ。乙人、あんたは手伝いな」

 「えー!?なんで俺が!!」

 

 

「どんなゲテモノが来るかと思ったら普通に美味しそうなの来た……」

「なんて想像してんだい。人が食べる物は把握済みさ」

「やっぱり妖怪は人とか虫とか食べるの?」

「食わぬわ。阿呆めが」

出てきた物は、野菜たっぷりのスープとパン、そしてデザートの果物。

振る舞うと言っただけあり、料理の手際は良く見栄えも綺麗だ。

さらには母親が作ったような愛情も目に見えて注がれている。

そう、目に見えて。

「……人参がハート」

「可愛いだろう?」

子供が野菜嫌いなのはここでも変わらない。

小さい子供が楽しんで食べられるように、この世界の母親も日々工夫しているのだ。

白道が大の野菜嫌いでねえ、よくこうしたもんさ。……今もだがねえ」

中身どころか舌も子供なようだ。

「やっぱうめえなー!姐さんの手料理!」

「あんたはいつも美味しそうに食べるねえ。作りがいがあるってもんだ」

乙人が手伝ったのは材料調達。

料理には一切触れてはいない。

あらゆる空間を繋げて、食材や調理器具などを集めていた。

「ご馳走して頂きありがとうございます。お返しできたらいいのですが、料理はできないものでして……」

「構いやしないさ。好きでやってんだからね」

その後残飯が出ることは無く、綺麗に平らげたのは言うまでもない。

 

 

「美味しかったー!また食べたい!」

「久方ぶりだのう、手料理を昼に振る舞われるのは」

 後片付けも終わり、またもやのんびりタイムに入っているところだ。

今は昼の1時半頃。

休むにはまだ早い。

「休憩も終わりましたし、さっそく3の島へ向かいましょうか」

すると何か閃いたようで、ベネジクトが指を鳴らして立ち上がった。

「そうだ!乙人に連れてって貰えばいいんじゃん!知識の幻石のところに!」

その提案に、皆が賛成した。

しかし当の本人はと言うと……。

「あー悪い、できねえんだわ。俺様はあくまでも空間の移動だからな。特定の人のとこにゃ行けねんだ」

「は!?無能!役立たず!ポンコツ!!」

心が折れる音がした」

空間と空間を繋いで移動しているだけなので、特定の人物に1発で会えるような便利な能力ではない。

その足で探さなければならないところは、他の生物となんら変わりはないのである。

「つまり何処にいるかわからないって事ですか?」

「最近はあんまり連絡取れてないからねえ。それに居場所まで毎回言い合いなんてしてないさ。変な奴にバレでもしたら面倒だからね」

「今から連絡取れたりしないの?」

その言葉を聞いて、乙人と詩貴は互いに顔を合わせる。

しばらくして目線を逸らすと、2人の口から出たのは「無理」と言う一言だった。

「なんだ今の間は……」

「俺らにもいろいろあんだよ。残念ながらこのメンツじゃあ無理だ。悪ぃな」

「じゃあせめて3の島まで連れてってよ」

「それなら構わ」

「……船乗らないの?」

乙人を遮って放たれた声の方には、純粋な目をしたレストが立っていた。

表情こそ変えないものの、悲しい感情がひしひしと伝わってくる。

「船、乗りたいんですか?」

こくっと静かに頷き返事する。

1の島からこちらに来る時には、あいにく時間に間に合わず船に乗れていない。

本当はその時も乗りたかったのかもしれないが、感情をあまり表に出さないレストに誰も気づかなかったのだ。

「じゃあ船で行こう。こんな目でお願いされちゃあ断れないでしょ」

「だが船は通っておるのか?港には行けぬのではないのか?」

「港に通じる道はちゃんと通れるぜ。奴ら賢いから別の道作ってやがんだ。どの道からもここには来れねえがな」

白姫達が乙人を追って来た道とは別の道から、港には向かう事が出来る。

ここだけ港が無ければ他の島にも影響が出てしまうからだ。

道案内の看板も建てられていたのだが、急いで来たため確認しそびれていたようだ。

「そうと決まればさっそく行こ!また乗り遅れてもやだし」

「じゃ、せいぜい頑張れよな」

もうすぐ最大まで日が昇る午後2時。

石に戻った乙人と詩貴を鞄に入れ、4人は港へと歩き出した。

 

 

「乙人に移動頼めば良かった!無駄に歩いたー!!」

「腹ごなしには丁度良かろう」

来た道を迷うことなく戻り、港行きの看板が指す方へ進むこと約一時間。

ようやく港へとたどり着いた。

大きな船から小さな舟まで、数は少なかれど活気に満ち溢れている。

「次の3の島行きの船はいつ出航しますか?」

「3の島行きですか?今は運航してないんですよ。すみません」

「はぁ?運航してないってどういうことよ?」

「向こうの港が封鎖されてしまっているんです」

「封鎖?どうしてですか?」

「それが分からないんです。行っても追い返されてしまって……」

港が封鎖されれば、物資が届けられなくなり商売が滞る。

更には交通手段までもを失い、生活にさえ支障をきたすだろう。

「……船乗れないの?」

「あの、どうしても船に乗りたいのなら、個人で運航している方をご紹介しますよ。行けないのはあくまでも、商業用やたくさんの人を運ぶ大型の船なので」

 「本当ですか!?ありがとうございます!」

自分は今離れられないからと、名前と所在を書かれた紙切れを渡された。

ここから少しだけ離れた小屋に、その人物は居るようだ。

「さっさと行かなきゃ!日が暮れちゃう」

 

 

ところ変わって古風な家の建ち並ぶ住宅街。

一つの駕籠(かご)を引き連れ、数十の人が歩いていた。

否、数十の人に囲まれていた。

「こんな所まで……村民に被害を与える訳にはいきません!どうか食い止めてください!」

駕籠の中から指示を出す1人の影。

隙間から覗く桃色の目からは、焦りが見て取れた。

「しかしこの数では対抗すら……!」

「……私が援護します。出してください」

「な!それはいけません!貴方様はそこにいて頂かなければ……」

「この窮地の中黙って見ているなんて出来ません!」

「分かりました……」

駕籠が降ろされ、中から青年が出てくる。

手には武器である弓矢。

敵はもうそこまで迫ってきていた。

「青梅(おうめ)、最優先するものは?」

「……村民です」

「分かっているなら大丈夫ですね」

ゼロ距離から放たれた矢は、緑色に光っていた。

魔法が込められているようだ。

「少しばかり寝ていてくださいね」

その後も攻防が続き、敵が半分程減った頃。

飛んでいく矢の数も少しずつ減っていた。

たった十分程度の間で、青年の額には汗が浮かび、息も上がり、目も虚ろになっている。

とうとう地面に膝を付いた青年の元に、青梅と呼ばれた女性が駆け寄る。

「桜樹(おうじゅ)様!!」

「村民を優先しろと……っ……」

「私には桜樹様を見捨てるなんて出来ません!翠閃(すいせん)!いるんでしょ!」

「はいはい。運べってんだろ」

何処からか現れた翠閃は、夜桜を背に乗せ敵を惑わすように一瞬で抜き去っていった。

もちろん追ってくる者も居たが、速すぎて追いつけなかったようだ。

「お前らはこの私!桜樹様一番の従者、国守(くにもり) 青梅が相手してやる!桜樹様は眠らせてたけど、あの方が居ない今は……全てが紅く染まると思え」

眠っていた敵の心臓に刀を突き刺しながら、言い放った言葉を証明した。

 

 

14話 あとがき

切るタイミングを見失い、変なとこで終わってしまいました。

次回までに頑張って説明しているんだと思っててください。

なので今回少しだけ長めとなっております。

それと登場人物の乙人の所、新しくしておきました。

 

それでは補足を少々。

せがれは昔は男女両方に使っていたらしいので、特に白姫の反論はありませんでした。

という訳ですので、別に男の子じゃないです。女の子でもありませんが。

 

空間の説明、理解していただけましたでしょうか。

おそらくあれでは無理でしょうから、とりあえず通れないんだと思っていてください。

ここの白姫が透明になって突破するシーンも初期からありました。

形に出来て嬉しい!!

 

詩貴と乙人の2人を含めた守り人全員は、結構前から居るので名前が独特です。

苗字は全員辞書からだし、下の名前は見た目や司る物の連想から。

詩貴は四季、乙人は乙女(顔がかわいい)からきています。

けど乙人は別に女顔って訳じゃないんですよね。

謎です。

乙人よりも知識の子が可哀想で仕方ありません。

でも変える気はないよ!今更って感じするんだ。

 

では、長々と失礼致しました。

今回も閲覧ありがとうございました!

 

幻石〜5つの石を探す旅〜 第14話

「そうだ!俺様が乙人!悪い奴らは俺に任せな!」

彼はそう言って決めポーズをとった。

「決めポーズもダサ……」

が、ベネジクトのお眼鏡にはかなわなかったようだ。

「さっきから聞いてりゃてめえ、俺の悪口ばっかり言いやがって!!」

「ちょっと!2人とも会って早々喧嘩はやめてください!」

周りにいた子供達はマセているのか、乙人に対して哀れみの目を向けていた。

 

 

第14話「仮面の下の真実」

 

 

「そんで?俺に何の用?見かけねえ顔だけど……もしかして俺に会いに来たとかか!?」

「いや無いから」

「わざわざお主に会うために遠路はるばる来るわけなかろう」

「心が割れそう」

子供達に別れを告げ、場所を変えて話していた。

「あなたが物知りだと聞いたので、お尋ねしたい事があって参りました」

「おう!答えられる範囲なら何でも答えるぜ」

この態度から本当に物知りなのか目を疑うが、彼は有名な情報屋。

まるで実際に見てきたように話すのだと、居場所を聞き回っていた際に誰かが言っていた。

テレビや電話は無いので、一般人が遠くの事を知る術はほとんど無いのだ。

おそらく乙人は、そういった類の魔法を使えるのだろう。

「幻石の守り人、ご存知ですか?」

真騎が端的に問う。

それに対し、乙人は少し間を置いて答えた。

「……知らねえな」

「怪しいのう」

ベンチに腰掛けている乙人の左後ろから、顔を覗き込む白姫。

ギクッと言わんばかりに顔色を変えて、さらには冷や汗までかいていた。

「わーったよ。話しゃあいいんだろ。けどその前に……そこのガキの鞄の中に入ってる石、見せてくれよ」

ニヤリと笑い、レストの鞄を指差す。

この中に入っている石、それは時の幻石。

しかし幻石を持っている事も、鞄の中に石が入っている事さえ話してはいない。

「これですか?どうぞ」

幸い青色をしているので、スペルストーンや宝石の類いと間違えてくれるだろうと、乙人にそれを差し出した。

むしろここで出さなかった方が怪しまれると判断したのだ。

「きれーな石っころだなー!……なんで俺がそこに石入れてんのわかったか知りてえか?」

せっかちなのか答えを待たずに立ち上がり、走り去りながら言い放つ。

「ヒーローだからさ!これは持ち主に返させてもらうぜ、泥棒さんよぉ!!」

向かった先は森の方。

ルボワが帰されると言っていた2の島森林《ツーフォレスト》だ。

「あいつ!何を根拠に泥棒扱いしてるわけ!?追いかけるわよ!!」

迷うことなく、4人は乙人の後を追った。

 

 

ツーフォレストの入り口を無事通過し、しばらく進んだ頃。

何十分か歩いてようやく異変に気づき始めた。

「ルボワさんが仰っていた通りですね」

「森だからってのもあるけど……でも絶対あの木さっき見たもん!!何ここ!?」

進んでも進んでも同じ道。

一本道をただ真っ直ぐ進んでいるだけなのに何故かぐるぐると回っている。

「そうだ!みんなここでストップしててよ。うちだけ先に進んでみるからどうなったか見てて」

走って進むベネジクト。

言われた通り見ていると、突然何かに呑まれていくように姿を消した。

魔法を使う素振りは見えなかった為、おそらくそれではない。

そして消えたベネジクトが現れた場所は……。

「はぁ!?何であんた達がいるの!?」

「お主が居ろと言ったのだろう」

つまりまとめると、前に進まない原因は空間の歪みのせい。

一定の場所を通り過ぎると、後ろにワープしてしまうのだ。

ワープしている感覚はもちろん無い。

 「こりゃ同じ景色なわけだわ」

「……何故彼奴は通れたのかのう?」

「そういやそうね。どっか隠れてるとかだったりして」

辺りを見回してみるが、人影すら見つけることはできない。

「これでは取り返せませんね……」

「彼奴め、見つけたらとっちめてやるわ」

 「今回は白姫に賛成」

何度も何度も挑戦してみるが、やはり前には進めない。

するとどこかから聞き覚えのある声が聞こえた。

低すぎず高すぎず、少し中性的なそれは、あたりに響き渡る。

「よーうお前ら。ぐるぐるぐるぐるループしてよぉ、まるで檻の中の魔物のようだな。その先に行こうとしたって無駄だぜ。何したってな」

「貴様、何処に居る!?」

「探してみな。てめえら得意だろぉ?人探し。とくにそこの女ぁ、ベネジクトつったか?全属性使える魔法使いじゃねえか。魔法使ってみろよ」

続けて笑い声。

情報屋の名は伊達ではないようだ。

しかし今の四人にとって、乙人が何故ベネジクトの名前や素性を知っているのかなどどうでもよかった。

「いい度胸じゃん、でもさ。うちはまどろっこしい事は嫌いなんだよね!!火魔法その25!!!」

辺りの木々は真っ赤に燃え盛り、ベネジクトの髪色もまた、真っ赤に燃え盛っていく。

しかし残ったのは木の灰だけだった。

「何処に居んのあいつ!?」

「落ち着いてくださいベネジクトさん。あぁ、こんなに燃やして……」

「早う鎮火せねば大騒ぎになるぞ」

「わかってるわよ。水魔法その6」

何処からか現れた大量の水で、それ以上火が燃え移る事は無かった。

 「しかし今の火で目印が出来た。何処で戻されるかがはっきりと分かるのう」

「そんなこと分かったって戻されるもんは戻されるじゃん」

「まあ見ておれ」

またも全員で進む。

そして何度か繰り返すうちに、とある異変に気がついた。

「ちょっと違うね」

「うむ。毎回戻される場所が微妙に違う」

「まさか気づいて居たんですか?」

「違和感があったくらいだ。周りの木々にな」

燃やされたことにより外観ががらりと変わったおかげで、景色の違いがわかりやすくなったのだ。

ワープするので、当然景色が突然変わる。

その境目が毎回違うのだ。

白姫が違和感を抱けたのは、おそらくずっと木々に囲まれて生きていたから。

「少し試したい事がある。皆我に捕まっておれ、離れるでないぞ。音も発さぬ事だ」

そう言ってまた歩き出す。

そしてまた消えた。

しかし見えてきたのは、先程とは違う開けた景色。

「え?え??なんで!?!?」

「言ったであろう。離れるな、音も出すな、と。消えたのだ、彼奴の視界から」

白姫の能力は透明になる事。

つまり消える事。

自分に触れている相手も消す事ができるのだ。

「どういう事ですか?それにいったい誰の視界から……」

「おいそこの白いの!!白道のせがれだな!?」

「元凶のお出ましだな」

どこからともなく登場した乙人。

やって来るや否や、すぐに白姫に突っかかる。

「あの、説明を……」

「あぁん!?んなこたぁ今どうでも良いんだよ!黙ってろバナナ!!」

「バ、ナナ、あ……」

とてもショックだったのか、真騎の魂は抜けかけて固まっていた。

全身真っ黄色から連想したのだろう。

「答えろ牛乳!!」

「何故お主は食い物にしか例えられんのだ……そうだ。数日前知ったばかりだがな」

「てかなんで!?知り合いなの?なんであんたがあの人の事知ってるわけ?」

2人の会話に割って入り、一方的に質問する。

それに対して乙人はこう答えた。

「言ったろ、俺様はヒーローだ。色んな事知ってんのさ……なんてもうおせえか。知り合いだぜ。昔っからのよ」

「と、とりあえず、その石返してください!」

「やーだね。俺が元の場所に返しといてやるよ。持ってるってこたぁ話したんだろ?姐さんと」

「あなたやっぱり知ってたんですか」

「たりめぇよ!俺様がてめえらの探す幻石だからなぁ!」

一呼吸間を置いて、ベネジクトと真騎の驚嘆の声が続いた。

「気づいておらんかったのか……」

「とんだクソガキだと思ってたもん。こんなやつが幻石でいいわけない!!」

「どうだ思い知ったか凡人ども!俺様のいってぇ!!」

いつの間にか石から戻っていた詩貴の扇子が当たった。

ここは安全だと察して出てきたようだ。

その拍子で乙人の仮面が外れた。

「黙りなクソガキ。何してるかと思ったら、あんたあんな事やってんのかい」

「っせーな!俺が何しようと勝手だろ!?姐さんは白道と居るから良いかもしれねえけどよ!俺は暇なの!!」

「ねえちょっと待って……あんた女の子だったの?」

仮面の下の素顔。

紫色の目はタレ気味でまつ毛は長く、眉毛も綺麗に整っている。

中性的ともとれるが、性格とのギャップもありさらに可愛さを引き立たせた。

「あぁ?こらぁルシャトリエの兄貴の顔だぜ。よって男だ。てかどう見ても野郎の顔だろうが」

「ちなみにあたしは蛇穴とやらと同じ顔さ」

 「え、男……泣きたい」

元々石である幻石に性別は無いため、どちらか断定する事は出来ない。

自分より整っている顔のモデルが男だと知り、先程の真騎と同じようになっていた。

「改めて自己紹介だ。顔はアフラ……だったか?だが、名前は別だ。空白 乙人(くうはく おつと)、覚えてくれよな」

「私は光闇……」

「おーっと紹介はいらねえぜ。なんてったってヒーローだからな」

「その事なのですが、何故あなたはそんなにいろいろ知っているのですか?」

「簡単なことさ。俺様は空間を司る幻石。移動なんてちょちょいのちょいよ」

 実際に見てきたように話しているのは、本当に見て回っていたから。

そういう類いの魔法を使えるのではなく、空間と空間を繋いで移動し、情報を得ているのだ。

「それともう一つ。先程の道の事ですが……」

「ああ。あれは万が一の為に仕掛けてんの。今回はお前らだけにしてたけどな」

「もっとわかりやすく言って」

「いつ異世界から人が来るかわかんねえからな。だいぶ安定してはいるものの油断は出来ねえし。俺がここを離れてても遠くに行っちまわないように、こっちの奴らとは鉢合わせねえように、互いに行けなくしてるってわけ。いつもは空間を繋いでるんだが、今回は俺様が直々にお前らだけを移動させてた。見破られちまうとは思わなかったがな」

空間がどこよりも不安定な2の島。

住む世界が違う者が見つかれば大騒ぎになってしまう。

その対処として、2の島先端《ツーポイント》には行けないというわけだ。

「なんでわざわざうちらだけ移動させたの?」

「そんなん面白いからに決まってるだろ」

「おかげで通れたがのう。頭の足りぬ奴め」

「その生意気な口へし折ってやろうか」

「それはこっちの台詞だっての」

個人の空間を操っていたため、突然消えたのに頭が追いつかなかったと言ったところだろう。

情報量は多いが、それを利用することは苦手なようだ。

「今度は俺様の番だ。なんで幻石を探してる?」

そこから全員での説明が始まった。

13話 あとがき

やってきましたツールーラル!

パーティメンバー最年少レストくんの故郷!

ここの住人は魔物と住んでいることが多いので、たくさん連れていようが驚かれることはないのです。

それにレストですからね、みんな知ってるんです。

田舎の繋がりって広いじゃないですか、みんな家族ーみたいな。

完全に偏見ですが、いいなと思います。

なのでここはそういうところです。

 

 

新しい人物が追加されたので、「登場人物」に追加しておきます。

ちゃんとしたキャラまとめ作る!っていつか言ったことあった気がしますが、いつになるんでしょうね!

私も楽しみです(他人事)

ではまた次回まで、しばしお待ちください!